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第2話 1章 出会い

「凄い賑わいじゃな、さすがは松川様の城下町だ。我が大高城の城下とは違う」 「そうでございますな」  駿河の松川家のご城下に入った仙千代と三郎は驚きを隠せない。何もかもが、大高の城下町と違った。活気にあふれ、どこか雅さも感じられた。  仙千代と三郎若い二人は、きょろきょろと顔を振り、まさに田舎者の御登り状態だった。 「若! あまりきょろきょろすると危ないですぞ!」  きょろきょろして人とぶつかりそうになった仙千代へ、三郎が慌てて注意を促す。  三郎自身、物珍しさに気を引かれるが、そこは年長者。そして自分がしっかりお守りせねばと、気を持ち直した。 「若様、急ぎましょう。お城に入り、ご太守様へお目通り願い、着到の挨拶をせねばなりません」 「そうだな、あまり遅くなるわけにはいかぬな」  若い二人は、城下町を散策したいという誘惑を振り払い、城へ急いだ。    城に着き高階の者と名乗ると、心得たようで、控えの間に通された。  仙千代は、待つ間に旅装を解き居住いを正した。  城の大きさは圧倒的で、松川家の力の大きさは歴然としていた。しかし、臆することはない、父上もそれを期待されておった。  我は、由緒正しい高階家の嫡子……仙千代は必死に心を奮い立たせた。  父上や、ご先祖様に恥じない振る舞いをせねばと思う。  一刻ほど待った後、小姓が「殿がお目通りになられます」と呼びに来たので、仙千代は小姓の後に従っていく。  三郎は太守に目通り出来る身分ではないので、ここで一人待つことになる。  付いていきたいのは山々だが、若様頑張れ! と心の中で声援を送り、仙千代を見送った。  通された座敷で仙千代は、緊張が徐々に高まっていくのを感じた。握る手に汗が滲むのを自分でもわかった。  この座敷は、謁見の間だろうか? 何もかもが大高城とは規模、そして豪華さが違い圧倒される思いだった。  実はこの座敷は、太守義定が指して重要でない人物と謁見する座敷だった。  重要人物と会う座敷は、これの比ではない豪華さだった。それを仙千代が知ったら、驚きに声が出ないだろう。それほど松川家の力は大きかった。  やがて「殿の御成りにございます」と声がかかった。  仙千代は、緊張をはらんだまま頭を下げ平伏すると、義定と嫡子の義政が入ってきた。 「苦しゅうない、面を上げよ」  義定が、重々しい声で告げる。声はあまり大きくなかった。 「はあっ、大高城主高階成定が嫡子、高階仙千代でございます。本日着到しました故、ご挨拶にまかりましてございます」 「うむ、そなたが仙千代か。中々に利発そうじゃの。そなたはこの義政付きにいたす」  それだけ言うと、小姓を従えて出ていってしまった。あっという間のことだった。  余りのあっけなさに、仙千代は拍子抜けする思いだった。  義定の姿すら、よくは見ていなかった。

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