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第12話 2章 凌辱
仙千代は、精根尽きはてていた。その体はぐったりとしていた。かろうじて、息はしているといった状態だった。
それは、そうだろう。たった十二歳の少年。この部屋に入るまで、なんの穢れも無い無垢な少年を襲った突然の悪事。悪夢と言ってよかった。
受け入れらることではない。理解することも不可能であった。
「さすがにくたばったか……まあよい、今日はここらで許してやるか。さく! ゆう!」
義政は作之助と、佑三を呼び、作之助には後片付けを命じる。
「ゆう! これの面倒はお前がみてやれ。部屋は用意してある。張型を使ってなれさせるのだ。お前にも使っただろう。そして、今日のような粗相をさせるな。今度これが粗相をしたらお前の責任じゃ、ともに仕置きするからな、心して教えろ、よいな」
それだけ言うと、義政はけだものたちを従えて出て行った。
佑三は、部屋の外で気配を伺いながら、気が気でなかった。中に入らずとも、何が行われているか想像がつくからだ。
今まさに仙千代が、地獄に突き落とされている。あまりの理不尽に、握る手に力が入る。
変わってやりたいと、切に思う。もう、自分にはなれたことだ。自分なら、耐えられる。それを、体で覚えさせられた。そうでなくては、生きることはできなった。
だが、仙千代は……。耐えられるとは思えなかった。しかし、生きて欲しかった。生きて、ここから共に解放されたかった。
そのような日は、来るのか……。
物思いに沈む佑三へ、作之助が追い打ちをかけるように告げてくる。
「新入りの部屋を整えておけ。張型も持っていっておくのだ」
「えっ! 仙千代殿はここで暮らすのですか?」
「当たり前じゃ! そうでなきゃ、若君様が楽しまれんじゃろ」
ああ、そうか……だからあのように小さな家だったのか。と、今更ながら思い至る。仙千代は、ここで住まわせられるから、あの家は、従僕の三郎のための家だったのか。それ故の、あの狭さと質素さだったのか……。
せめて、通いなら気が休まる時もあろうものの、ここで暮らすならそれも許されない。義政の冷酷さに改めて、怒りがわく。
佑三は、命じられた通り、張型を持って仙千代の部屋に行く。自分でも、仙千代の部屋を確認したいのもあった。
仙千代にあてがわれた部屋は、さすがに佑三の部屋よりは広かった。だが、殺風景で、くつろげる雰囲気ではない。
もっとも、この離れ屋で仙千代がくつろぐことはないだろうが……。
ここで、仙千代は毎日張型を使って、その蕾を開かせ慣れさせなければならない。
ここに居る限り、義政の命令は絶対だった。生殺与奪を握っているといってよかった。決して逆らうことはできない。
仙千代は、耐えられるのか……それを考えると、佑三の心は突き刺すような痛みを感じた。
義政が、作之助と自分を呼んでいる。急いで凌辱の部屋に入ると、義政とけだものたちの足元に、仙千代が横たわっていた。
今日の凌辱が終わったことを察した。
義政の命令に、「はい、かしこまりました」と、頭を下げて見送る。
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