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第13話 2章 凌辱
死んだように横たわる仙千代。
何も身に着けず、いたるところ男の精で汚れている。
爽やかで清楚な、仙千代の面影はない。見るも無残な姿に、深い哀れみを覚える。同時に義政に対して、激しい怒りがわく。
「仙千代殿、大丈夫か?」
そう声を掛けると、仙千代はぴくりと反応する。
「辛いじゃろうが、湯殿まで行けるか? 身を清めた方がええからの」
仙千代は、佑三の腕を掴む。しかし、その手は弱々しい。力が入らないようだ。
「身を起こせるか? そうしたら、わしが支えて湯殿まで連れて行かれるのじゃが」
仙千代が、手をつき身を起こすのを、佑三は背に手をやり助けてやる。
体を動かす気力も残ってはいないだろうが、身を清めてやりたい。注がれた精も掻き出してやらないと、後が辛いのは、佑三自身よく知っている。
ふらつきながらようやく起き上がった仙千代に、佑三は肌着を着せかけて湯殿に連れて行く。
入って少し躊躇したが、脱がないと体を清められない。
「体を洗うためじゃから」と言いながら、肌着に手をやると仙千代は抵抗しなかった。
仙千代も、この汚れを洗い流したいのだろうと思い、そのまま肌着を脱がせた。
「嫌じゃろうが、ここを掻き出して洗わねば後が辛い、我慢してくれるか」
そう言いながら、仙千代の後孔からけだもの達の精を掻き出し、清めてやる。
なるべく痛まないように優しくはするが、やはり痛むようで、仙千代は佑三にしがみつくように耐えているふうだ。
そんな、仙千代に佑三は強烈な庇護欲が沸き上がる。しかし、せいぜいがこうして優しく後始末してやるぐらいしか、己に出来ることはない。
不甲斐ない自分の情けなさに、涙が出そうになるのを懸命に堪えて、仙千代を清める行為を続ける。
「よし、これで大丈夫じゃきれいになった」
最後に湯を、肩から掛けてやると、仙千代は無言のままではあったが、安堵した様子には見えた。
湯殿から出ると、作之助の用意した小袖を着せる。作之助が用意したということは、それを着ろということだからだ。
義政の好みに合ったものしか、身に着けることは許されぬということだ。
おそらく仙千代は、小袖を着るしか許されないだろう。もうあの、凛々しい袴姿を見ることは当分ない……佑三の心が傷む。
佑三は湯殿から、仙千代の部屋に案内する。
部屋に入り、佑三はこの部屋が仙千代のために用意された部屋で、今日からここで暮らすことになると説明する。
佑三の予想通り、仙千代は驚きを露わにする。
「えっ! では昨日賜った家は?」
「あれは、三郎さんたち従僕のためのものじゃった。わしも先程知ったゆえ、説明できなかった。すまない」
「しかし、わし一人では……世話役の者が……」
「ここでは、若君様の命でわしが仙千代殿のお世話をさせていただきます。精一杯務める故、安心してくだされ」
そうは言っても、安心できることではないと佑三も思う。
仙千代の身分では、常に身の回りの世話をする乳母や小姓がいる。今回乳母は付いてきていないが、小姓として三郎がいる。
常に身の回りの世話をするため、近くに侍る三郎が、いないのは不安だろうとも思う。
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