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好きだから、アナタのために8

「智之さん、ほどほどにしないと僕、壊れちゃいますよ」 「客とイチャイチャして、俺を妬かせる聖哉が悪い」 「イチャイチャなんてしてませんて」  文句を言った僕の唇を塞ぐために、智之さんは後ろから覆いかぶさった。 「んぅっ……」  舌を絡めようとしたのに、すぐさま離れていく。 「聖哉を感じさせるたびに、ナカがギュンギュン締まるせいで、キスなんてしていられない」  そう言って僕の両脇に手をやり持ち上げると、ナカから大きいのを抜いた。ただそれだけなのに、智之さんとの繋がりがなくなって、寂しさを覚えてしまう。 「智之さん……」 「わかってる、ちょっと待っててくれ」  背中を向けて下半身の処理をしている彼に、後ろから縋りついた。 「智之さん、大好き」 「俺も。聖哉が好き」  縋りついた僕の片腕を引っ張り、ベッドに仰向けに寝かせる。智之さんのまなざしが注がれるだけで、妙に感じてしまった。 「智之さん、白けたくないので、本当は言いたくないんですけど」 「なんだ?」 「背中が冷たくて気持ち悪いです……」  智之さんに何度もイカされて、そのままシーツの上に放出しているせいで、しっとりと濡れているところに横たわった、僕の背中が大変なことになっていた。 「ごめんごめん。早く聖哉とひとつになりたくて、焦ってしまった」  智之さんはカラカラ笑って僕の腕を引っ張り、起こしてくれる。 「僕もさっきまでシーツのことが気になって、腕立て伏せの状態でいたのに、智之さんとキスしただけで、そのことをすっかり忘れちゃいました」  立ち上がった僕の背中を、智之さんは取り出したタオルで拭ってくれた。そして新しいシーツを広げる。僕は慌てて布団を床に放り投げ、汚れたシーツを引っ張ってベッドから外す。 「つかまえた!」  そのままベッドに新しいシーツを敷けばいいのに、なぜだか僕の頭からそれを被せるとか。 「智之さんっ!」 「本当はこうして、いつでも捕獲していたい気分なんだって。わかれよ」  切なげな声が、胸に染み込むように聞こえた。シーツに覆われて智之さんの顔が見えない分だけ、耳で彼の心の声を聞いているみたい。 「捕獲していたいのなら、早くこのシーツをベッドに敷いてください。すぐにしないと、僕はどこかに行っちゃうかもしれません」  シーツの上から抱きしめられても、布地一枚の距離すらもどかしくて、早くするように急かした。するとそこからの智之さんの行動が、ミラクルすぎるくらいに早かった。  僕の頭の上から引きずり下ろされたシーツが瞬く間にキレイに敷かれ、振り返った智之さんが僕の手を引っ張る。 「ほら、言うことを聞いたぞ。早く来いよ」  ピアニストの僕の手を優しく引っ張った愛しい彼に、一晩かけてねっこりと愛されたのでした。

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