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第6話:君とバカンス

「遅かったな」 「へ?中島?」 待ち合わせ場所に来ていたのは憧れの先輩ではなく、 犬猿の仲である同僚・中島 貴臣だった。 ある日の昼休み。 社内の食堂で竹田 友樹は、あこがれの先輩である花川 巻と旅行の話になった。 「へえ海の近い県出身なんですね。先輩」 「うん、でも海鮮が食べられないんだよね」 と笑う花川。 「いいなー、俺海鮮好きだから行ってみたいです」 そういいながらミックスフライ定食を食べながら、嬉しそうに話す友樹。 花川はニコニコしながら、 「良かったら、今度案内するよ」 「え、いいんですか?」 嬉しそうに声を上げる友樹。 「うまそうだな、一個くれよ」 喜ぶ友樹の皿から、すっとエビフライが消える。 「え?」 友樹が見上げると、 整った顔立ちの無表情な男、中島 貴臣が友樹のエビフライをもぐもぐと食べていた。 「俺のエビフライ!」 「あれ?残してるんじゃないの?」 「はあ!?エビフライが嫌いなやつがいるかよ!何勝手に食べてんだ」 「んあー、ごちそうさまー」 「覚えてろよ!」 怒りで我を忘れて食堂で叫ぶ友樹に、 「あー、落ち着いて」 にこにこと花川が制する。 友樹と貴臣は犬猿の仲として社内で有名だった。 憧れの花川を見習って、友樹は最近急激に営業としての頭角を表していた。 それにいちいち引っかかってくる貴臣。 友樹はそれを鬱陶しそうに噛み付くというのが日常。 かくして友樹は花川との楽しみにしていた旅行当日。 待ち合わせ場所に来ていたのは、 貴臣だった。 「え、なんでお前がいるの?誰かと待ち合わせ?」 混乱する友樹に、 「ライン見ろ」 「え?」 促されてスマホを見ると、 『竹田ー、お疲れ様ぁ 俺、急遽出張で行けなくなったから、 代わりに中島を手配したから! あいつもK県に詳しいから 案内してもらってね♡ た・の・し・ん・で♡ 当日キャンセルはやめてね♡』 それを読んで、ひたすらプルプルと震えだし・・・ 「なっなっなっ・・・」 「どうする?」 「・・・」 かくして犬猿の仲の二人は、1泊2日の旅行に出発したのだった。 「ほれ、お茶」 貴臣は平然と新幹線の座席で隣の席に不貞腐れて座る友樹に差し出した。 「・・・さんきゅ。はあぁ」 一応お礼を言って、ため息を吐いた。 「お前さ、そんなに溜息つくなよ。俺だって急に行けって言われてるんだからさ」 「今頃は、先輩と仲良く駅弁食べてたのに・・・」 本気でがっかりして友樹はうつろに外を見ていた。 その友樹の態度を見て、 「お前ほんとに先輩のこと好きなんだな」 「え」 「憧れてるのは知っていたけど、旅行行くなんてよっぽどだろ」 その言葉に、友樹はハッとして、 「そ、そりゃ花川先輩はかっこいいし、仕事も出来るし、優しいし・・・」 と、最後はモゴモゴ話す友樹。 「ふうん」 窓際に頬杖を付き、半顔になる貴臣。 「この旅行中にあわよくばとか考えてたんじゃねえの?」 「あっ!?そんなわけないだろ!」 カッと赤くなりながら否定する友樹。 「先輩のことは諦めろよ」 「な、何でだよ?」 「花川先輩は安藤主任と付き合ってるから」 「へ・・・?」 気の抜けた声を漏らし、貴臣をじっと見つめる友樹。 ちなみに安藤主任は男だ。 貴臣はお茶を一口飲むと、 「先輩と安藤主任は同じ大学で話しが盛り上がって、すぐに付き合い出したらしいよ」 それを聞いて、友樹は深く溜息を吐いて座席に深く寄り掛かった。 両手で顔を覆って俯いた。 貴臣はそっと友樹の頭をポンポンと撫で、 「泣くなよ」 「・・・泣いてねえ」 ホントに泣いてはいなかったが、泣くなよと言われて、急にうるうるとしだした。 そのまましばらく顔から手を退けることができないまま、いつの間にか友樹は泣きつかれて寝てしまった。 貴臣の肩により掛かり泣きつかれた友樹は眠っていた。 その彼の寝顔を見つめ、貴臣は彼の頬にある涙の跡を手で拭う。 (…ちゃんと気付けよ) そうして新幹線は目的地へたどり着いた。 「えー、やば」 眼の前の大きなホテルを見上げて、貴臣は呆然とした。 友樹は花川と来るのが楽しみで、かなりいいホテルを予約していた。 オーシャンビューの5つ星ホテル。 「張り切りすぎじゃん」 「だから言うなって」 しかも温泉付き客室ツインルーム。 ただ、今となっては張り切りすぎたのが逆に恥ずかしい。 「…お恥ずかしい」 「…張り切り」 「言うな」 部屋の豪華さが目立つほど、友樹はだんだん恥ずかしくなっていく。 2人は取っていた部屋に入り、荷物を置いてホテル付近を探索した。 大きな窓の外には海。 その光景を見つめる友樹。 その彼の隣で、 「綺麗だなー」 そう努めて明るく声掛けた。 友樹は、せつなそうに外を見つめている事に気がついた。 「ほんとうは、・・・相手にされてない事は分かってたんだ」 友樹はきっと花川の事を思い出している。 遠くを見つめる友樹は言葉を続ける。 「でも、ずっと憧れてたんだ。2日間も一緒に居られると思ったら、浮かれたってしかたないだろ?」 泣き笑いの様な友樹に、貴臣はそっと彼の頭を撫でて、 「分かったよ」 優しく友樹の頭を自分の胸に抱き寄せた。 数分後、友樹の涙が収まり、 「ごめん。もう大丈夫だ」 友樹はようやく貴臣から離れよとする。 貴臣はぐいっと、友樹の手を掴んで、 「よし、この旅行中、俺がお前の恋人になるよ!」 「は、はあ!?」 「遠慮するな」 「え、ちょっと、ええ?」 戸惑う友樹の唇に、貴臣は優しくキスをした。 「‼」 カッと赤くなる友樹。 貴臣はさっきとは違う、いや、今まで見たことのない優しい表情で、 「失恋なんて忘れるくらい、甘やかしてやるよ」 と、貴臣は友樹の顎を優しく指でなぞる。 それにぞくぞくと感じながら、 今度は深くキスされる。 「んっ」 何で、こんなにキスが上手いんだ。 優しく甘く口の中を舌で撫でられて、感じてしまう。 (これが、恋人のキス・・・) これは、まずい。 ハマってしまいそうだ。 口を放すと貴臣は、とろんとなった友樹の表情を見て、 「異論は無いようだな。決まり」 こうして一夜限定の恋人関係が始まった。 今まで犬猿の仲と言われていた同僚と、先程初チューをしてしまい、 今はホテルの近所を探索している。 「というかさ」 今更な事を友樹は思い出し、 「お前俺とキスしてよく平気だな」 「今更だな」 「そうだけど」 「まあ元々俺はそうだから」 「そうだから?」 「恋愛対象が男だから」 「・・・ああ」 「お前もそうだから、さっきは気がつかなかったんだろ?」 しかし、その質問に友樹は考えながら、 「俺は・・・初恋、女の子だった」 「え」 「中学生の時も、てか、今まで女の子としか付き合ったことない」 「・・・」 貴臣は黙る。 友樹は虚空を見上げ、 「社会人になって、先輩が初めてだ。男を好きになったのは」 そう答えると貴臣は青ざめて、 「ごめん」 「ん?」 「勝手にお前も俺と同じだと思って、恋人になるとか・・・」 貴臣は自分が2、人ともゲイだと勘違いしてしまったと思い慌てる。 道端でしゃがみこむ。 「ほんとうに嫌なら、ちゃんと断って。俺調子に乗ってヤバいこと言って」 本気で青ざめる貴臣に、 「ふっ」 友樹は吹き出した。 「笑い事じゃ」 「笑うよ。あんなキスしたくせに」 「・・・ごめん」 こんなヘコんだ貴臣は見たことない。 不覚にも、可愛いと思ってしまった。 「立てよ」 友樹はぐいっと貴臣の腕を引っ張り立たせて、 「旅行中は俺の恋人なんだろ?甘やかしてくれるんだろ?」 「竹田・・・」 「だったら前言撤回するなよ」 そう言って、今度は友樹の方から貴臣にキスをした。 貴臣の方が背が15センチほど高いので、キスするなら背のびをしなくては届かない。 その後、近くの有名な橋や観光地の風景を回ってみて、気付いた事があった。 「疲れてないか?」 「え、ああ、平気」 今までは仕事上ただいけ好かない奴だと思ってたけど、観光で回る順番も考え、さり気なく疲れてないか確認し、飲み物をくれたり、トイレの場所をあらかじめ確認して教えてくれたり、観光しながら食事もリサーチ。 「さすが営業だな」 「ん?」 しみじみつぶやく友樹。 貴臣は別に特別な事をしてる自覚はまるでない様子だった。 「デートだろ」 「そっか」 これが仕事なら腹が立つが、 あらためてデートである事を友樹は思い出す。 貴臣はいつも恋人に尽くすんだな、と関心した。 夜になり、 2人は食事の前に温泉に入ることに。 「部屋にも温泉付いてるけど、大浴場に行く?」 「そうだな〜、どうしようかな〜」 ウキウキしながら悩む友樹を微笑ましく見ながら、 「夜は大浴場に行って、朝は部屋風呂にしたら?」 促す鷹臣。 「そうだな」 友樹はさっそく浴衣に着替える。 大浴場に行くと貴臣の裸を見て友樹は驚いた。 「お前・・・腹筋やばいな」 と鷹臣の腹筋をマジマジと見てつぶやく。 「まあ、ジム通ってるからな」 「へえ、俺も行こうかな」 と友樹は自分の腹筋を触る。平均よりは筋が入っているが割れるほどではない。 貴臣は友樹を裸を上から下までマジマジと見つめる。 「・・・どうした?」 「いや、はいるぞ」 「?」 2人は大浴場を堪能した。 部屋に戻ると、豪華な懐石料理が用意されていて、その豪華さに貴臣はまた友樹をからかい食事の後、売店でお土産と酒を購入し、部屋で静かに飲んでいた2人。 大きな窓から綺麗な満月を見上げながら、 「あのさ」 貴臣は意を決して言葉を発した。 「ん?」 少しだけ酔いが回っている友樹は、何気なく返事をすると、 「お前のこと抱きたいんだけど」 そう言う貴臣の言葉に、 友樹は一瞬目を点にする。 ようやく言葉を理解して、友樹は顔を真っ赤にした。 「は?なっ、よ、酔ってるのかよ?」 「酔ってない。旅行中は恋人だろ」 明らかに酔ってはいる。 友樹は戸惑いながら、 「で、でもお前俺の事抱けるわけ?」 「余裕。むしろずっと前から抱きたかった」 そう言って、友樹の手を取って、その手にチュッとキスをする貴臣。 熱っぽい視線をこちらに向けて、 「お前はずっと先輩の事ばかり見てきたから気が付かなかっただろうけど。俺はずっとお前のこと見てきた」 「へ・・・?」 自分でも声が上ずっているのが分かる。 最初はからかっているのかとおもったが、 彼の視線が熱っぽすぎて冗談とは思えない。 「お前が嫌なら、金輪際もうお前に関わらい。でも・・・」 貴臣はぐいっと友樹の手を引き、2人とも布団になだれ込む。 「今夜だけは、お前を抱きたい」 真っ直ぐ見つめられ布団の上に押し倒され、お互いの浴衣が乱れる。 自分の上にまたがる貴臣の引き締まった胸がチラ見して、彼の下半身ももう半勃ちになっている。 (俺で興奮しているのか・・・?) 心臓がバクバクしていく。 知りたい。 貴臣に抱かれて自分がどうなってしまうのか。 友樹は意を決して、 貴臣の浴衣の裾を引っ張り、彼にキスをする。 彼も深く深くキスに答える。 その後は貴臣に身を任せた。 肌を撫でられ全身にキスをされ、お互いの熱を確かめ合う。 何度キスしても気持ちよくて、離れたくない。 「あ・・・ん」 後ろに指を挿れられ解されながら、乳首を舐められ、どんどん気持ちよくなっていく。 「自分でイジってた?」 「・・・少し」 「じゃあ、挿れやすいな」 そう言って貴臣は彼の中に侵入していく。 「あっ」 初めて本物が入ってきて、友樹は全身がビクつくのを感じる。 「あんまり締めるな」 そう言いながら、貴臣はゆっくり抜き差しながら腰を揺り動かす。 粘膜と粘膜が合わさる、ぱちゅぱちゅとやらしい音が部屋に響く。 気持ちよくて、何も考えられない。 ただ目の前にいるのは貴臣で、 自分と身体を重ねている。 大事に丁寧に、 優しく抱いてくれている。 ずっと、このままならいいのに。 夢みたいな一夜はあっさり終え、朝を迎えた。 2人はただ黙って新幹線に乗り、 最寄り駅で、向かい合った。 「付き合ってくれて、ありがとう」 友樹はまだ夢心地だったが、言葉は冷静に口にしていた。 目の前に立っているのはいつもの貴臣。 「ああ」 彼の表情はずっと見えなかったが、ふと彼は顔を上げて、 「費用無駄にならずに済んだな」 と、ニヤッと笑う。 いつものようにからかうように。 「うるさいなっ」 それに友樹は調子を合わせた。 「じゃあ、また会社で」 「おう」 それが、熱い夜を共にした2人の別れ際だった。 俺達は恋人じゃない。 この一夜は過ちだ。 友樹はそう言い聞かせ家路についた。 自宅に到着してからも、 友樹の夢心地のままだった。 でも明らかな事は、 まだ、後ろに挿っている様な感覚。 それがはっきりと貴臣のモノが挿入された事を、 思い起こさせる。 友樹は他に何もする気が起きず、 ベッドに倒れ込んだ。 『今夜だけはお前を抱きたい』 そう言って貴臣にベッドに押し倒され、 全身を触られて、 乳首を舐められて、 後ろに指を挿れられて、 全部優しく触れられた事を思い出し、友樹は顔を枕に押し付けた。 連休明け、会社に行くと花川が廊下で話しかけてきた。 「竹田ー、おはよ」 「おはようございます」 友樹はいつものように花川に挨拶をした。 「旅行どうだった?」 「え」 急に話しを振られ、友樹は一瞬固まったが、 「楽しかったですよ」 何とか笑顔を作って返事をした。 「・・・そう」 いつもと同じ様に見えて、明らかに違う友樹の様子に、 花川はしばらく考え、 「中島ー」 仕事中の貴臣のデスクにカフェオレを手に近寄ってくる花川。 「何ですか?」 貴臣はパソコンから目は離さず相槌を打つ。 その冷静さに、 「俺、やっちまった・・・?」 何故か反省を見せる花川の言葉に、貴臣はピタリとタイピングする指を止めて、 「何も」 無表情で答え、また仕事を再開する彼の態度に少しだけ気まずくなる。 花川は貴臣の友樹に対する気持ちを知っていたからこそ、 自分の代わりに旅行に行かせたのだが、 2人の異様な雰囲気を感じ取って、思わず声を掛けたのだが。 余計なことをしたかもと、花川は一人反省しその場を去った。 あれ以来、2人が会社でからかうような小競り合いもなくなり、 距離を取る2人を、社内では不思議に思っている人もちらほらいた。 喧嘩をしているのではないかと。 そう囁かれたいる事に貴臣が気がついたのは、 数日後だった。 「はあー・・・」 貴臣は喫煙室で一人深く溜息を吐いた。 あからさまに距離を置くのはあまりよくなかった。 もともと犬猿の中と言われていた2人だったが、 あくまで貴臣が友樹にちょっかい掛けて、 それに友樹が抗議するような、大した事ない事だった。 社内で喧嘩していると噂されるくらいなら、 極力今までと同じ様に振る舞うべきだった。 が、それは自分には難しかった。 ただの旅行なら出来たかもしれないが、 一晩とはいえ身体を重ねてしまった。 普通になんて出来るわけがない。 ましてや貴臣は友樹の事をずっと好きだった。 ダメ元で誘ってみたら、彼を抱くことが出来た。 それだけで夢のような一夜だったのに。 今までは想像で何度も友樹を抱いていたが、 本物の熱や匂いを知ってしまったら、もう顔を見れない。 生々しく思い出しては、夜な夜な一人で抜いている。 もう今までのようには、気持ちを隠せないかも知れない。 抱くんじゃなかった・・・。 「はあ・・・」 再び溜息を吐いて、咥えていた煙草を灰皿に押し付ける。 「今日溜息多いな」 「んー、そりゃ・・」 話しかけられて自然にそれに答え、 はっとして貴臣は喫煙室の入口を振り返る。 そこには友樹が腕を組んで立っていた。 目が合い、びっくりする貴臣。 「!!よ、よお」 「おう」 何かを言いたげな友樹。 久々に見た彼は今までと同じ友期のはずなのに、なんだか違う様に見えた。 それは友樹も貴臣を見てそう思っていた。 友樹はそわそわと落ち着かない様子で、 「今週末空いてる?」 「え・・・」 急に誘われて戸惑う貴臣。 その反応に、少しだけむっとする友樹。 「なんだよ」 「え、いや、あいてるけど」 「温泉行かないか?」 「えっ」 「嫌なのか?」 「・・・いやじゃない、けど」 「おう、じゃあ場所とかは決まったらラインする」 「え、うん」 貴臣を確認してうなずく友樹は喫煙室を出ようとするが、 「それと・・・」 ふと立ち止まり、 「こないだみたいな感じで、よろしく」 そう言って立ち去る友樹の顔は、 わずかに赤くなっているように見えた。 貴臣はしばらく呆然として、 「・・・・・え!?」 一人驚愕した。 週末。 2人は電車に乗っていた。 比較的田舎なため、あまり人は乗っていない。 2人の間の空気が違っていた。 でも貴臣は正直驚いていた。 自分の勝手で旅行について行って、 付き合っていないのに彼を勝手な理由で抱いてしまった。 罵倒されてもおかしくはないと思っていた。 なのに、今回温泉に誘われた。 「あのさ」 貴臣は隣に座る友樹に彼の方は見ずに話しかけた。 「こないだみたいな感じって・・・どの辺の事言ってる?」 友樹は電車に揺られながら、車窓から景色を眺めている。 「・・・どの辺って?」 「だ、だから、どこまで一緒でいいの?」 前回は、旅行中は恋人として接していた。 昼も、夜も。 でも、あれは花川先輩に振られた友樹を励ますつもりと、 貴臣の下心につきる。 友樹は恥ずかしくて貴臣の事を直視出来ないまま、顔を手で半分隠して 「・・・全部一緒でいい」 その返事に貴臣は驚き、そっと隣に座る友樹の手を握る。 「へえ」 そう言って、友樹の握った手を自分の方に引っ張る。友樹はその時初めて貴臣の方を見た。 「恋人って事でいいの?」 友樹が見ると、いつも冷静な貴臣は嬉しそうな顔を押さえている様に見えた。そのまま握る友樹の手にキスをする。 「・・・うん」 友樹は赤くなりながらも、頷いた。 そのまま手を繋ぎながら電車に乗って、 甘い空気のまま、旅館に到着した。 旅館の部屋に到着した途端、 貴臣は友樹を壁際に追いやり、真っ直ぐ彼を見つめる。 「ほんとにいいの?俺遠慮しないけど」 そう言いながら、友樹の腰に手を回し引き寄せる。 友樹は内心ドキドキが止まらないが、目の前にいる貴臣の首に手を回し、 チュッと彼の唇にキスをした。 「しつこい・・・んっ」 言葉が終わる前に、貴臣に深くキスをされ口を塞がれる。 口を放し、お互いの視線が絡む。 あの日からずっと、 寝る前に思い出すのは、貴臣の指と熱と挿れられた感触を思い出しては一人でシていた友樹。 失恋の事とか、もうどうでもよかった。 ただ、もう一度貴臣が欲しかった。 貴臣はベッドに友樹を押し倒し、 比較的新しい旅館なのか、ベッドの部屋だった。 「あえてベッドの部屋を選んで予約した?」 四つん這いになって、ベッドに仰向けになる友樹に問いかけた。 「・・・いいから早く脱げよ」 顔を赤くして、貴臣のシャツの中に手を入れて肌の感触を確かめる友樹。 図星らしい。 (・・・可愛すぎ) 貴臣は必死で冷静を保ちながら、 友樹の服を脱がしながら全身にキスしていく。 「あ・・ん」 触れる度に、喘ぐ友樹の反応がたまらない。 見つめる2人の視線が絡む。 お互いを求めて、 汗も精液も熱も、 全てがぐちゃぐちゃで、 繋がって、 揺り動かされて、 お互いが気持ちよくなって、 それ以上は 何もいならない。 友樹の後ろに挿入して、何度もイッて、 お互いが気持ちよくなって。 「好きだ」 貴臣は友樹を宝物のように愛おしく思い、 何度も抱いた。 夜になり、 「腹減った?少し休憩する?」 さすがに旅館に到着してから数回抱き合って、 貴臣は友樹の体調を気遣った。 友樹は、ふらつきながらも顔は満足そうであった。 「プランは朝食付きだから、腹減ったならなにか食べるか?俺は大丈夫」 「俺もあまり減ってない。・・・てか」 言葉を止めて、色々考える貴臣。 「最初から朝食付きプランだったんだ」 「うん・・・ん?」 キョトンとする友樹。 少しだけ照れる貴臣。 「・・・あ」 貴臣の照れた理由に気がついて、友樹はカッと赤くなる。 最初から2人の時間を取るために、 夕食は付けなかったのがバレてしまったことに気がついた友樹。 「・・・」 「そんなにイチャイチャしたかったんだ」 半ばからかうような貴臣の言葉に、 「そうだよ」 友樹は貴臣を真っ直ぐ見つめて答えた。 「ずっと・・・あの夜が忘れられなくて」 「え」 「お前に触れられたかった」 「・・・」 その素直さに貴臣は手で顔を覆う。 「あー・・・ちょっと、もー」 そうして貴臣はもう一度友樹を抱いた。 2人の関係は、つかず離れずのまま、 毎週末近場の温泉に2人で行っては身体を重ねた。 いつしか「温泉に行こう」は、 2人にとって「セックスをする」という暗黙の了解のようになった。 友樹は何度抱かれても気持ちよくて、 もうとっくに貴臣に落ちていた。 何度も抱かれたせいで、 毎晩身体が疼いて毎週末が楽しみだった。 貴臣も今まで想っていた友樹を毎週抱く事が出来て、 まるで夢のようだった。 抱く度に友樹はどんどん可愛くて素直で、自分を求めてくれた。 でも、つきあっているかというと貴臣は自信がなかった。 それはお互いが想っていた事だった。 なぜなら友樹から好きだと言われてはいなかったからだ。 これでは、まるでセフレだ。 そんな関係が続いて、3ヶ月が経過した。 翌週会社にて、 まるで週末に熱い夜を過ごしたのが夢の様な感覚で、 友樹は会社に出社した。 「おはようございます」 「おはよう竹田ー」 花川と挨拶を交わし、温泉のお土産を渡す。 「週末温泉に行ったのでお土産です」 「わー、ありがとう」 温泉まんじゅうを渡されて嬉しそうに受け取る花川。 「へえ、ここいいよね」 2人の会話に参加する安藤主任。友樹は頷いて、 「良い旅館でしたよ」 「えー、俺も行きたい。今度こそ一緒に行く?」 と、花川は半ばからかうように友樹に聞いてくる。 すると、 「俺と一緒に行けばいいだろう」 と言い出す安藤主任の言葉に、 「そうだね!」 嬉しそうに返事をする花川。 その2人のやりとりを見て、そういえばこの2人付き合っているって言ってたな・・・・ まあそんな2人のやり取りを見ても、もう何も思わない。 それらを見届け、自分のデスクに座り仕事の準備を始めた友樹。 そこで突然ふと、あることに気がつく。 考えれば身体の関係を持ったし、 多分お互いの気持ちは通じ合っていると思う。 貴臣から好きとは言われたが、 自分からは言えていないことに。 それは果たして付き合っていることになるのだろうか・・・? そうしたら俺達の関係って何だろう? などと考えていると、貴臣が出社していない事に気がついた。 「そういえば、中島は?」 「あー、あいつなら今日から本社に移動になったぞ」 平然と話す花川。 「え!?」 本気で驚く友樹。 そんな話し聞いてない。 週末も何も言ってなかったし。 (俺には言うこともないってことかよ) 一気に気持ちが沈んでいく。 「え、聞いてなかったの?」 「・・・まあ、別に俺に言うことじゃないってことでしょ」 そう言い放つと、友樹は仕事を始めた。 「え、ちょっと・・・」 明らかな友樹の変化に、花川は動揺する。 友樹はそれ以上言葉を発しなかった。 花川は安藤主任に耳打ちで、 「どうしよう・・・」 しかし安藤主任は冷静に、 「俺達が口出すことじゃない」 そう答えた。 「中島の移動も一ヶ月限定だし、急に決まったことだからあいつに話すタイミングが無かったんだろう」 「そうだけど・・・竹田があんなに落ち込むとは思っていなかったから、転勤だと思ってるのかも」 と、めずらしく花川は友樹を心配した。 その夜、 友樹は家に帰って、一人で缶ビールを一気に飲み干した。 ソファに倒れ込んで。天井を一人見つめる。 なれないビールを久しぶりに飲んで、酔いが一気に回った。 移動になるなんて 一言も言ってなかった。 もう、会社に行っても貴臣はいない。 同じ会社ですれ違うだけで、 嬉しかっったし、 休憩室で会うだけで、 ときめいていた。 思えば、 とっくに夢中になってたんだ。 「・・・会いたい」 一人でそう呟いていた。 たとえ付き合っていなくても、 同じ会社に貴臣がいると思うだけで、 それだけで良かった。 でも、 それももう思えない。 絶望が友樹の心を締め付けた。 その時、 スマホが鳴った。 よく見ると、貴臣からだった。 友樹はガバッと起き上がり、震える手でスマホをに握る。 電話に出ると、 『竹田?お疲れ』 いつもの貴臣の声。その声に内心ホッとした。 「お、お疲れ」 何とか返事をする友樹。なぜだか緊張してしまう。 そしていつのまにか、ソファの上で正座していた。 意を決して、 「何で今日いないんだよ」 『ごめん』 「本社に行くってわかってたら、もっと早く好きだって伝えてたのに」 『えっ?』 「何がえっだよ、よりにもよってなんであの日の翌日から転勤なんだ!」 『転勤?』 「そうだろ?!」 『俺一ヶ月限定だけど』 「・・・え?」 『・・・悪い、急に決まって言うタイミングがなかった』 別に俺に謝る必要なんてない、そう言いたかったが言葉には出来なかった。 てか、転勤とは言われてないのに、友樹は急に恥ずかしくなってきた。 ドサクサに紛れて、告白してしまった。 しばらく間を置いて、 『俺に会いたかった?・・・なんてな』 控えめに、でも照れた声色でそう言葉にする貴臣。 「・・・・・」 友樹からの返答が無くて、 『ご、ごめん、冗談だって・・・』 慌ててとりつくろう貴臣。 「・・・会いたいよ」 『え?』 「会いたいに決まってんだろ!バカ!」 友樹は、だか胸が一杯だった。 「毎週末一緒にいて、週明けいつも俺がどんな気持ちで来てたか」 身体を重ねてるのに、恋人と言って良いのかとか、 自分は相手にとって何なんだろうかとか。 温泉から帰ってからいつも考えてた。 『・・・不安にさせて、悪かった』 その声は、優しくてせつなそうだった。 まるで、抱きしめるように優しくて落ち着いた声。 早く、会いたい。 その手で触れられたい。 好きだ。ものすごく。 『帰ったら、抱くから』 決意のようなでも甘い声に、 友樹は照れる。 「うん」 素直に返事した。 その返事に貴臣も嬉しくなり、 『毎日電話する?』 「それはいい」 『おいっ』 いつもの調子に戻り、2人は笑いあった。 一ヶ月はあっという間に過ぎた。 久しぶりに会社に出社する貴臣。 気がつくと丁度、友樹も出社したところだった。 「おはよう」 声掛けられて振り返る友樹。 そこには一ヶ月ぶりに会う、貴臣の姿があった。 「・・・おはよう」 エレベーターの中で、 2人きりだが会社で触れられない。 隣に並んで立っているだけで、 お互いの気配を感じている。 それだけで、たまらない気持ちになった。 「今日俺挨拶周りで、あんまり社内にいないけど」 「うん」 「夜、待ってるから」 「・・・うん」 友樹は素直に頷いた。 エレベーターを出てお互い左右に分かれて進む。 その夜。 最寄りに行くと、 貴臣が近くのガードレールに腰掛けてスマホを見ていた。 友樹に気がつくと、ふと顔を上げて嬉しそうにこちらを見つめる。 その彼の反応を見て、 そわそわする。 いや、友樹は浮かれてた。 最初は、ただの同僚だった。 営業で成績を上げていき、 いけ好かない男だと思った。 でも、たった一度の旅行で、 彼の良い所をたくさん発見し、 いつしか心を奪われた。 それを今まで言葉に出来なかった。 でも、 人の心は絶対じゃない。 人生は短い。 だったら、 この想いを伝えないと、 きっと後悔する。 「おまたせ」 友樹は貴臣の前に立ちそう言った。 「いいよ」 貴臣はふっと、嬉しそうに笑う。 「貴臣」 友樹は、初めて彼の名前を呼ぶ。 真っ直ぐに彼を見つめて、 「好きだ」 素直にそう告白した。 「俺と付き合って」 貴臣は驚いて、目を丸くした。 でもすぐに嬉しそうに笑い、友樹の手を握って、 「俺から言いたかったのに」 彼の手にキスをした。 「友樹、ずっと前から好きだ」 優しく笑う貴臣に、 友樹は心からの笑顔を返した。 貴臣は彼の手を握ったまま、 「今週末、温泉行く?」 これは2人の抱きたい合図。 しかし友樹はふっと笑い、 「これから家行こ。週末まで待てない」 と、照れながらもすぐにセックスしたいと主張する。 「あー、お前、もう・・・」 友樹のその可愛さに貴臣は頭を抱えた。 「俺だって温泉まで待てるか」 言って、たまらず友樹を抱き寄せて彼の胸に顔を埋めた。 その後、友樹の家に行き、 「んっ」 玄関に入るなり、 貴臣は友樹を壁際に追いやり吸い付くように唇を奪う。 キスをしながら友樹のシャツの中に手を入れていき、 片手て彼の乳首をイジりながら腹筋からその背中へと肌を撫で、 背中から腰へ、腰からおしりへと手を滑らせ、 友樹はビクッと反応する。 友樹は貴臣のズボンのファスナーを下ろして、 彼のすでにガチガチのモノをパンツの上から優しく撫でていき、 今度はパンツの中に手を入れてそのモノを上下に擦る。 「早く挿れて」 煽られて貴臣は友樹の下を脱がして、 後ろに指を挿れていく。 もう柔らかい。 「なんでもうこんななの?」 「毎日イジってたし、昨日も一人でしたから」 「ほんとに、お前・・・」 貴臣はもう待てないと言わんばかりに、 友樹を後ろから抱き寄せ、彼の首にキスをする。 「挿れるよ」 そのままズブズブとゆっくり奥まで、 自分の爆発しそうなモノを挿入した。 「あっあっ」 挿れた途端に、友樹はイッてしまう。 そのまま貴臣は腰を揺さぶり、 すぐに自分もいってしまう。 でも全然萎えない。 その後、ベッドに移動して何度も抱いて、 何度もお互い好きだと伝え合った。 翌朝。 友樹は自分のベッドで目を覚ました。 隣にはぐっすり眠っている貴臣の姿。 彼がちゃんと隣にいて、友樹は嬉しくなった。 眠っていても整った彼の寝顔を、 しばらく見つめて、彼の前髪を優しく撫でてみる。 貴臣はそっと、目を覚ました。 2人は目が合う。 「・・・おはよう友樹」 「おはよう貴臣」 お互い名前で言い合って少しだけ照れる。 友樹は彼の頭を撫でながら、 「名前で呼ぶのってそわそわするな」 貴臣はふっと笑い、 「照れるって素直に言えよ」 「自分だってそうだろ」 「・・・俺は心の中ではずっとそう呼んでたから」 平然とそう答える貴臣に、 友樹は照れて枕に突っ伏して顔を隠す。 「しれっと言うなよ。そういう事」 照れた友樹がまた可愛くて、 貴臣はうつ伏せになった彼の背中にキスをする。 「ホントの事だ。俺は妄想でずっとお前の好きに呼んでたし、好きに抱いてたし、何回でもシタし・・・」 「わかったってば!」 そう言って顔を上げた友樹は顔を真っ赤にしていた。 そのまま貴臣に身体をくっつける。 貴臣も友樹をぎゅっと抱きしめて、彼の頭を撫でる。 「恋愛って、バカになるな」 「俺はならないけど」 「おい」 2人は笑いあって、キスをした。 後日。 友樹が定時を19地を過ぎてオフィスで帰る支度をしていると、 貴臣と花川が出先から帰ってきた。 「よかったな、転勤じゃなくて」 花川はからかうように、友樹にそう言った。 友樹はとっさに貴臣の反応を見つめた。 貴臣は少し照れた顔をして、 友樹は視線をそらした。 「花川先輩、知ってたなら教えてくれても良かったのに」 少しだけ不機嫌になる友樹。 しかし花川はデスクを片付けながら、 「言おうとしたけど、途中から俺の話聞いてなかったじゃん」 「それは・・・」 確かに貴臣がいなくなったという情報しか耳に入ってこなかった。 ショックすぎて。 「そんなにショックだったんだ」 と、嬉しそうに呟く貴臣。 顔がニヤけるのを手で隠していた。 それを見て、照れる友樹。 「う、うるさいな。だいたい本人が言わないのはずるいだろ」 「それは悪かった」 「たしかにそうだよな」 花川も賛同する。 「お前は面白がってたろ」 と急に来た安藤主任が、 椅子に座っている花川の隣に立ってそう言った。 花川は急に慌てだし、 「し、心配してたってば!」 と、訂正する。 「ふうん」 友樹は半眼で花川をじっと見つめる。 花川はぎくっとして、ははっと笑い、その場を取り作ろうとする。 「で、でもよかったな中島」 話をそらすように、花川は今度は貴臣に話を振る。 「俺が出張で竹田との旅行に行けなくなった時に、必死で俺と代わってくれって食い下がって・・・」 「え?」 「ち、ちょっと先輩!」 最初の旅行の時の花川とのやりとりを急にばらされて、 貴臣は慌てて彼の言葉を遮る。 そのやりとりを聞いてきょとんとする友樹。 そしてじっと貴臣を観察する。その視線に気まずさを感じて貴臣は友樹の方は見ないようにする。 「というかさ」 今度はずっと黙っていた安藤主任が花川の腕を引っ張り自分の側に引き寄せる。 「俺と付き合ってるのに、他の奴と旅行に行く約束するってどういう事?」 「へ?」 ぎくっとする花川。 その光景を見つめて驚く友樹と貴臣。 花川はめずらしく焦って、 「い、いや、あの、竹田は可愛い後輩だし、お前があの時忙しくてずっとかまってくれなかったから、もしかしてヤキモチ焼いてくれないかなっと思って・・・」 慌てふためいて言い訳をする花川。 (・・・そういう理由だったんだ・・・) と2人のやりとりを冷静に眺める。 「と、とにかく2人が上手くいってよかったよ!じゃあ、俺帰るから!」 と、そそくさと帰っていった花川。 安藤主任ははあっとため息を吐いて、 「2人に迷惑を掛けてすまない」 「い、いえ」 あっけにとられている2人に向かって、主任はふっと笑い。 「後でお仕置きしなきゃな」 「後で?」 「俺達、一緒に暮らしてるから」 「・・・なるほど」 「じゃあ、おつかれ」 そう言って主任は花川を追うように帰っていった。 オフィスに残された2人。 「さて」 友樹のつぶやきに、貴臣はびくっとする。 貴臣がゆっくりと彼を見ると、こちらをじっと見つめていた。 「詳しく話を聞かせてもらおうか」 「・・・俺も説教ですか」 「ちがうよ」 友樹は指でトンっと貴臣の胸を突っついて、 そのまま指の先で彼の身体をなぞってベルトに指を掛ける。 そのまま彼の耳元で、 「お前がいつから俺のこと好きだったか。その身体に詳しく聞きたいだけ」 その意味深な友樹の言い方に貴臣が言葉を失っていると、 「今日、お前のこと連れて帰っていい?」 帰ってする事を想像して、貴臣はたまらなくなる。 「・・・何それ」 その返事に友樹はふっと吹き出して、 「さて、冗談はこのくらいにして帰ろうぜ」 「えっ」 「飯食って帰る?」 と、友樹は鞄を手にオフィスを出ようとする。 「え、ちょっとどこまで冗談?」 慌てて彼を追いかける貴臣。 「お腹空いたなぁ」 「なあって」 廊下を歩きながらしつこく聞いてくる貴臣の反応に嬉しくて笑う友樹。 夕食を食べながら、今度は恋人として旅行を計画する事を持ちかけようと考えている 友樹なのだった。 終わり。

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