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共に歩む未来へ4

「そう……だったんだ。俺ン親父がそんなふうに……」  紫月――ルナは感激に瞳を震わせながらまだ見ぬ父親の姿に思いを馳せているようだった。 「なあ先生、俺ン親父って……どんな人? 例えば……見た目とか性質とか」 「親父さんか? そうだな、見た目はものすげえ男前だぞ。性質は今言った通りの、あったかくてでっけえ心の持ち主だ」 「へえ……。んじゃ、顔とか俺と似てる?」 「そうだな。ふとした仕草とか――例えば笑ったりする時の表情とかはよく似てるなと思うところはあるな。ああ、やっぱり親子だなって思うが、おめえはどちらかといったら顔立ちはお袋さん似だそうだぞ」 「お袋似?」 「ああ。飛燕さんがよく言ってた。出逢った頃の母さんにそっくりになりやがったってな」 「へえ……、そっか。俺、お袋に似てんだ……」 「俺もまだほんのガキだったから、そうはっきりは覚えてねえが、めちゃくちゃ美人だったって俺の親父や組の者も言ってた」 「ほええ、そうなんだ……」  会ってみたかったなというような顔つきで瞳を細めた彼をギュッと抱き締めた。 「会いにいこう、二人で――。香港での生活がひと段落ついたら一度日本に帰って、二人でおめえのお袋さんの墓前に報告したい。今俺たちはものすげえ幸せです、心配しないで見守っててくださいってな」 「先生……ありがと。ありがとう。俺、そんなん言ってもらえて……すっげうれし……」  涙声を気恥ずかしそうに隠しながら笑った彼を、また再びギュッと抱き締めた。 「紫月――ルナ……」  頬に手を寄せ、涙の跡を指先で拭いながら見つめる視線はとろけるように熱い。もう待てない、欲しくて仕方ない、早くひとつになりたいと欲情にゆらめく瞳がそう云っている。ルナもまた、腹の底からゾワゾワと這い上がってくるその感覚のまま、どちらからともなく唇を重ね合った。  先程の――触れるだけの小さなキスとは真逆の、深くて濃い、激しいキスだ。 「遼先生……」 「大丈夫だ。俺の背中に腕を回して――しっかり掴まってろ。おめえの身体は必ず俺を覚えているはずだ。辛いことはねえ」 「うん……。うん!」  そのままもつれ合い、広い寝所のシーツに身を委ねる。愛撫の隙間に時折触れ合う身体の中心は熱く硬く、欲情の度合いを示している。 「硬……、センセの……すっげでっけ……」 「ん? おめえのだって――ほら」  キュっと鈴口を指で撫でられて、ビクりと腰が浮く。両脚を軽々持ち上げられて、硬く怒張した雄を擦り付けられる感覚に、身体中の筋肉が強張るようだ。 「大丈夫だ。力を抜け。俺を信じろ――」 「ん……うん、もち……! 信じてるし、すっげうれし……けど」 「怖いか?」  そう言って愛しげに微笑む表情にドキドキと心臓が高鳴る。やさしく髪を梳く指の感覚が心地好く、男前の笑顔が信じられないくらい格好良く思えて、どうしようもない感覚に包まれる。 「こ……わくねえ。先生になら……何されても俺……さ」 「ルナ、あまり俺を喜ばせるな」

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