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第3話 アオハルな僕ら(5)★

「ひ、あっ!?」  その口から甲高い声が上がる。面白いくらいに反応を見せる智也に、陽翔はますます煽られるばかりだ。 「耳、感じちゃった?」  イタズラっぽく囁き、再び耳朶に口づけては柔らかく食む。  途端、智也が身をよじるのがわかったが、後頭部をがっしりと手で押さえつけて、逃げられぬよう固定してしまう。  ぴちゃ、くちゅ、とわざと音を立てて舐め上げてみせれば、それすらも快感になるらしい。智也の体が小刻みに震え、欲望がいっそう張り詰めていくのを感じた。 「智也ってば、やらしいんだ――耳舐められて気持ちよくなっちゃうなんて」 「っん、ばか……耳元で、話すなあ……っ」  すっかり智也は力が抜けてしまったようで、普段とは打って変わって物言いも弱々しい。そんな彼が愛おしく、自然と陽翔の顔に笑みが浮かんだ。 「嫌なら、いつもみたいに叩いてくれていいんだよ?」  好きだからこそ、意地悪だってしたくなる。  もちろん本当に嫌がるようならやめるつもりでいたけれど、智也は何の素振りも見せなかった。耳まで真っ赤になりながら唇を引き結んでいて、堪らない気持ちになってしまう。 「智也――」  陽翔は耳朶に吸いついたまま、追い立てるように屹立を扱きだす。智也のそこは限界まで膨れ上がっており、はち切れんばかりだった。  そのうちに智也が切羽詰まったような声で訴えてくる。 「あっ、ハル……も、イッちまいそう」 「ん、俺もイッちゃいそう」  陽翔もまた智也の手によって昂ぶり、限界寸前にまで追い込まれていた。  互いに互いを刺激しながら、絶頂を迎えるべくラストスパートをかけていく。そうして、ほぼ同時に精を放った。 「っ、あ……」  熱い飛沫がそれぞれの手を汚すなか、ぐったりと智也がもたれかかってくる。荒い呼吸を繰り返している彼の頭を撫でて、陽翔は呟いた。 「大好きだよ、智也」  その言葉に智也が顔を上げる。かと思えば、目が合うなり、慌てて顔を背けられてしまった。 「……お前、ちょっとさ」 「うん?」 「怖い」 「えっ、ごめん!?」 「や、別にいいんだけど。雰囲気変わるっつーか……なんか落ち着かねえ」  そう口にする智也の頬は、真っ赤に染まっていた。  調子に乗りすぎたのかと一瞬焦ったが、どうやらそういったことでもなさそうだ。陽翔はクスッと笑みをこぼす。 「俺たち幼なじみだけど、智也に見せてない顔――まだあるよ?」  やはり“王子様”なんて柄ではない。目を細めて、したり顔で言ってやったのだった。

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