18 / 54
第3話 アオハルな僕ら(5)★
「ひ、あっ!?」
その口から甲高い声が上がる。面白いくらいに反応を見せる智也に、陽翔はますます煽られるばかりだ。
「耳、感じちゃった?」
イタズラっぽく囁き、再び耳朶に口づけては柔らかく食む。
途端、智也が身をよじるのがわかったが、後頭部をがっしりと手で押さえつけて、逃げられぬよう固定してしまう。
ぴちゃ、くちゅ、とわざと音を立てて舐め上げてみせれば、それすらも快感になるらしい。智也の体が小刻みに震え、欲望がいっそう張り詰めていくのを感じた。
「智也ってば、やらしいんだ――耳舐められて気持ちよくなっちゃうなんて」
「っん、ばか……耳元で、話すなあ……っ」
すっかり智也は力が抜けてしまったようで、普段とは打って変わって物言いも弱々しい。そんな彼が愛おしく、自然と陽翔の顔に笑みが浮かんだ。
「嫌なら、いつもみたいに叩いてくれていいんだよ?」
好きだからこそ、意地悪だってしたくなる。
もちろん本当に嫌がるようならやめるつもりでいたけれど、智也は何の素振りも見せなかった。耳まで真っ赤になりながら唇を引き結んでいて、堪らない気持ちになってしまう。
「智也――」
陽翔は耳朶に吸いついたまま、追い立てるように屹立を扱きだす。智也のそこは限界まで膨れ上がっており、はち切れんばかりだった。
そのうちに智也が切羽詰まったような声で訴えてくる。
「あっ、ハル……も、イッちまいそう」
「ん、俺もイッちゃいそう」
陽翔もまた智也の手によって昂ぶり、限界寸前にまで追い込まれていた。
互いに互いを刺激しながら、絶頂を迎えるべくラストスパートをかけていく。そうして、ほぼ同時に精を放った。
「っ、あ……」
熱い飛沫がそれぞれの手を汚すなか、ぐったりと智也がもたれかかってくる。荒い呼吸を繰り返している彼の頭を撫でて、陽翔は呟いた。
「大好きだよ、智也」
その言葉に智也が顔を上げる。かと思えば、目が合うなり、慌てて顔を背けられてしまった。
「……お前、ちょっとさ」
「うん?」
「怖い」
「えっ、ごめん!?」
「や、別にいいんだけど。雰囲気変わるっつーか……なんか落ち着かねえ」
そう口にする智也の頬は、真っ赤に染まっていた。
調子に乗りすぎたのかと一瞬焦ったが、どうやらそういったことでもなさそうだ。陽翔はクスッと笑みをこぼす。
「俺たち幼なじみだけど、智也に見せてない顔――まだあるよ?」
やはり“王子様”なんて柄ではない。目を細めて、したり顔で言ってやったのだった。
ともだちにシェアしよう!