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第4話 君と、三度目のキス(1)

 それは、夏休みに入って間もない頃のことだった。 『ごめん! お願いだから智也も来て!』  突然の陽翔からのヘルプ。LINEで届いたメッセージによれば、クラスメイトの女子たちから夏祭りに誘われたというのだ。  最初はあれやこれやと理由づけて断っていたものの、どうにも断り切ることができず、結局行く羽目になってしまったらしい。 (ったく、つまんねー連絡よこしやがって)  どこかがっかりしている自分に複雑になりながらも、こちらとしては特に予定もないので、二つ返事で了承した。  グループトークに招待されると、そこにはすでに別の男子の名前も並んでいる。が、女子に対して明らかに人数が少なく、いろいろと察するものがあった。  とりあえず日時と場所を確認して、当日を迎えることになったのだが――、 「なんだよ、この光景……」  陽翔とともに待ち合わせ場所の駅前へと向かうも、そこに男子の姿はなかった。  聞くところによると、先に来ていた女子といい雰囲気になった結果、それぞれペアになって楽しむことにしたという。  残ったのは女子四人。智也と陽翔は私服だったが、女子はそろって浴衣で着飾っていた。どうやら皆、陽翔狙いのようで、智也は必然的に浮いた存在になってしまう。まあ、最初からわかっていたことだが。 (……正直、面白くねえ)  ちらりと目をやると、ちょうど陽翔もこちらを見ていたようで視線が合ってしまった。最近になって気づいたけれど、どうも彼の視線の先にはいつだって自分がいるらしい。 「――……」  申し訳なさそうに陽翔が微笑みかけてきたが、モヤモヤとした気持ちが拭えず、智也は顔を逸らした。もちろん陽翔が悪いわけではない。 「前々から思ってたけど……なんで結城くんって、坂上くんと仲いいの?」  そのやり取りを目にしてか、陽翔の隣にいた女子が問いかけた。他の三人も興味津々とばかりに陽翔を見る。 「家が近所で昔からの付き合いなんだ。幼なじみってやつ」 「えーっ、そうなの? でも二人ってなんかこう真逆っていうか――坂上くん、ちょっと怖いし」 「……あんまりそんなこと言わないでよ。智也は優しいよ」  やんわりと否定したものの、陽翔からは有無を言わさぬ圧のようなものを感じられた。ニコニコしているわりには、意外と言う男である。  なんとなく気まずさを感じながらも、その後、夏祭りの会場である神社へと向かった。花火が始まる時間までは、屋台を回ろうという話になっている。  ところがこの人混みだ。人の間を縫うように進まねばならず、屋台を楽しむどころではない。人波にのまれるとはまさにこのこと――周囲と距離をとって歩いていたこともあり、智也はすっかり孤立してしまった。いや、それぞれが散り散りになってしまったという方が正しいか。  周囲を見渡せば、陽翔の姿だけはすぐに見つかったので、そちらへ向かおうとする。  陽翔は人混みを抜けるためか、道から逸れていくようだった。奥まったところに入っていくのが見えたが――、

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