そう静かに告げて律動が始まる。 　できる限り苦痛を与えぬようにという気遣いからか、陽翔の腰使いはどこかぎこちない。が、それでも智也は体をビクビクと震わせた。 （なんだ、これ……気持ちいい） 最初は違和感しかなかったものの、抜き挿しされるたびに快感が生まれていく。 　内壁を擦られるたびにゾクゾクとしてしまい、つい声が出そうになってしまうほどだ。それを必死に抑えようとすればするほど、体の奥から熱が高まっていくような気がしてどうしようもない。 「智也、大丈夫？」 「ん、なんかきもちい……もっと強く――」 　その言葉に陽翔が喉仏を上下するのがわかった。遠慮がちだった律動も力強いものに変わって、徐々にペースを上げていく。 　激しくなる抽挿に智也は身悶え、無意識のうちに陽翔の背中に爪を立てていた。 「ハルの、熱い――奥までとどいて……っ、あ、ん……ッ」 　思わず喘いでしまいそうになって唇を引き結ぶ。しかし、それも長くは続かなかった。 「また声我慢してるの？」 「だ、だって、マジで変な声出るから……んっ、あぁ！」 　最奥を穿たれて甘い悲鳴が上がる。恥ずかしくて仕方ないのに、陽翔が何度も突き上げてくるものだから、喉奥からどうやったって押し出されてしまう。 「ひ、あぁっ……やだ、ハルっ」 「可愛い……智也、大好き」 　陽翔はこちらの声など聞こえていないようで、夢中になって腰を打ちつけてくる。より深いところを突かれるたびに言い知れぬ快感に襲われ、智也は喉を仰け反らせた。 「うあっ、ん、あぁ……ハル、ハル……っ」 「ごめん、もう抑えられない――」 「あ、ああっ」 　腰をがっしり掴まれ、そのままガクガクと揺さぶられる。 　見上げた陽翔の表情には普段の穏やかさはなく、余裕なさげに眉を寄せて息をついていた。いつだって爽やかな王子様然としているのに、今はそれが無性に嬉しくて堪らない気持ちになる。 （俺だけにもっと、その顔見せてほしい……） 　そんな思いを込めて首に腕を回せば、陽翔が身を寄せてキスをしてきた。互いに目を閉じることもなく、視線を交らわせながら舌同士を絡ませる。 「智也……っ、好きだよ、大好き」 「ん、ハル……俺も、好き――」 　好き、大好き――甘ったるい言葉を繰り返して互いを求め合っていく。 　そのうちにも陽翔の動きが一層激しさを増し、智也はキスの合間に甘く喘いだ。限界が近いのか、耳元で陽翔の荒い息づかいを感じる。 「っ、そろそろイッちゃいそう。智也のナカ気持ちよすぎ……」 「ハル……っ、俺も、一緒がいい」 「ん、一緒に……」 　智也が膨れ上がった自身を擦りつけると、陽翔はそれに指を絡めてきた。そして、ラストスパートをかけるように腰を動かしていく。 　たちまち智也は絶頂へと上り詰めていった。