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第13話
一階はダイニングキッチンとリビング、浴室に洗面所とトイレ、それから夫婦の寝室と思われる部屋が一部屋と、小さな収納部屋があった。
リビングの窓を開けた先は庭に続いていて、軒下には小さな縁側がついている。
人口の芝が敷かれた庭は広く、大人二人が走り回ってもまだ余裕がありそうだ。
端に置かれたサッカーゴールの存在に、浮かべた笑みが深くなる。
二階には洗面所にトイレ、部屋は三部屋あって、翔護の部屋に書斎、それからゲストルーム。
階段を上って右奥にあるゲストルームを使うように言われていたので、千聖は探索ついでに室内へと荷物を運び込んだ。
ゲストルームというだけあって普段はあまり使われていないのだろう。真新しいフローリングは、廊下よりも色濃く艶めいて見えた。
部屋の中にはベッドが一台と、コンパクトなクローゼットが備え付けられていて、レースのカーテンが引かれた小さな出窓には、造花で出来た薔薇の花のアレンジメントフラワーが飾られていた。
確か、翔護の母は趣味でフラワーアレンジメントの教室へ通っていたはず。そう思うと、玄関や階段に飾られていた花飾りも彼女が手作りしたものかもしれない。
クローゼットの中へ持ってきた衣類を仕舞い、制服のブレザーをハンガーに掛けてから部屋を出る。左奥の、おそらく翔護の部屋であろうドアのすき間からは、薄く明かりが漏れていた。
風呂の件を聞くか迷って、千聖はいったん階下へと降りた。
今急いで聞かなくても、食事のときに聞けば良いだろう。顔を合わせて話す話題は、少しでも多い方が良い。
冷蔵庫から惣菜の入ったタッパーをいくつか取り出して盛り付けていると、炊飯器からピーッと炊き上がりを知らせる音が鳴った。
すぐに蓋を開けて、蒸気を逃がすように混ぜる。こうするだけで、ごはんがふっくらして美味しくなるらしい。
炊きたての米の香りがふわりと舞い上がり、千聖の腹の虫を刺激した。
汁物はインスタントだけれど、種類は豊富に持ってきてある。見てから好きなものを選んでもらおうと、千聖はケトルで湯を沸かしつつ、階段下からそうっと翔護を呼んだ。
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