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第12話

綺麗に盛り付けられた色とりどりのお料理たち。 食べると意気込んだのはいいけれど、目の前にするとなかなか手が伸びず。 「元々食べてなかったんだから、一口でも二口でも、食べられる量でいいよ。一日三回食事するっていうのが大事!」 野菜スープを小さな器に取り分けてもらって、パンはクレイグが小さくちぎって口元に差し出してくれるからそのまま口に入れて貰う。 「…おいしい。でも、ごめんなさい。もうお腹いっぱい。」 「食べれただけ偉い。」 タカギもライさんも、笑顔で頷いてくれるから安心して食後のお茶を頂く。 「スーッとする!」 ちょっぴり重かった胃がスッキリするのだ。 「ハーブティーだよ。薬草とかが入っていて、体にも良いし胃もたれにも効くし万能茶!」 「お茶なの?凄く綺麗な薄緑だね。」 良い香りでとっても美味しい。 「そ。普通の茶葉とはまた違うんだけど…香草とか薬草とかの緑色が綺麗だよな~。今度栽培してるところ見に行くか。」 「いいの?お茶もだけど、野菜とか果物とか、いろいろみたい!それで、何か僕にも手伝える事があると良いんだけど。」 タダで住まわせてもらうのも気が引けてしまう。でも僕にも出来るような簡単な仕事は、ないかなぁ…そう話すと何故か皆驚いた顔をする。 「スミレには、魔法があるだろう。だが、しばらくはこのままで良いんじゃないか?」 「んー、魔法で出来ることは時間はかかるけど人の手でもできるでしょう?だからあんまり意味ないよ。それにこの国はあんまり魔法使わないみたいだし。でもあったら生活するうえで便利だろうからタカギたちの赤ちゃんには教えてあげたいな。」 ここで生活する上で魔法はあまり必要がない事に気がついた。 使った魔法はタカギのお腹にだけで、それも妊娠していたらお腹が張ったりは普通の事だと説明を受けたから、完全なる自己満足なのだ。 「それは違うよ。そもそも魔法使いがこの国にはほとんどいないんだよ。だから科学技術なんかが発展した。ヒトの国ではこの国よりは魔法使いがいたけど、スミレみたいに何でも出来るわけじゃない。あんなに大規模な結界をはれるのなんてスミレしかいなかった。だから監禁されてたんだろ?」 タカギが早口で色々説明してくれるけど、寝起きでお腹がいっぱいで、ぽやっとしている僕はそのほとんどを聞き流してしまう。 でも、ひとつ反論するならば、 「監禁じゃないよ。保護だよ?」 「あれは監禁だよ。理解してたのにまた洗脳された?」 うーん。何て言えばタカギにわかってもらえるだろうか。 「魔法はいくら使ってもなくならないし、置いて貰ってただけ感謝、なんだよ。ご飯もちゃんと貰えたし、眠れるベッドもあったし。タカギがあんまり使わない方が良いって言ってくれたから結界だけだったけど、結界も出来なかったら拾っても貰えなかったんだから。」 僕の価値は"結界が張れる"それだけだ。 「ご飯、ちゃんと貰えてなかっただろ?」 「でも今生きてるもの。ご飯貰えなかったら死んでたよ?」 「……」 「命って凄く軽いと思ってた。いつもお前なんかすぐ殺せるって、食事抜くだけで餓死するって言われてたから。保護してやってるんだから国の為に結界を張るようにって言われて、その通りだなって思って納得してやってた。でも、お友達のネズミのキリが目の前で殺されて、あれ?って思ったの。目の前が真っ赤になって、許せなくてお前が死ねって思った。それで狼さんに向かって偉い人たち投げちゃったんだけどね?」 えへへと笑いかけると、皆真顔で、少し眉が下がっていて笑顔を返してくれない。あ、また料理長さんが泣いてる… 「キリが死んじゃって、偉い人たちは僕が投げちゃっていないし、僕ももう死んじゃっていいやって思ったの。その前にキリを埋めてあげようと思って狼さんのクレイグに出会って、今があって。タカギに再会もできたしライさんにも会えたし、やっぱり孤児だった僕を拾って保護してくれたからだから、感謝しないとって思い直した。」 んー、なんか矛盾してる?話してて自分でも意味がわからないや。 「間をとって軟禁されてたにしようかな?」 タカギの悲しそうな顔は見たくないから、クレイグに話しかける。 「スミレの思う通りで良い。何かあいつらにしてやりたい事とか聞きたいこと、ないのか?」 「いきてるの?」 あんなに投げちゃったのに。 「この国一番の魔術師に蘇生させて手当てもしたからな。まぁ、そこから色々あって、まだ、生きてる。辛うじてだが。会ってみるか?」 「ふざけんな。会わせねぇよ。」 「タカギには聞いていない。スミレ、どうする?」 クレイグが目線をしっかり合わせて問いかけてくる。 「うーん…悩むけど、やめとこうかな。」 「そうか。わかった。」 頭をポンポンとしてくれるその手はあたたかい。 「悩むなよ。あんな奴ら、会う価値ない。」 「ん。たぶん、会ったら殺しちゃう。」 「は?」 「生きてたら、殺しちゃう。魔法で簡単に首落とせるなって殺されるキリを思い出してたら気づいたの。生かしているなら殺しちゃだめでしょう?」 「あー、うーん。いいの、か?処分されて当然な奴らだから死刑は良いけど、簡単に殺すって言うのは…人として…あー!俺、数年じゃ無理かも。言ってることの矛盾もあるし、道徳の教科書が欲しい。赤ん坊と一緒に一から子育てか…?」 ぶつぶつぶつぶつ考え込む、再会してから良く見るようになったタカギを気にせずクレイグは僕のほっぺを手の甲ですりすり。 「もう少しだけ、聞きたいことがある。それが終わったら始末していいぞ。」 「そうなの?んー、」 「また全て片が付いたら声をかけるからその時に考えればいい。」 「はぁい。」 「ほわほわな雰囲気で話す内容じゃないから!」 クレイグのほっぺすりすりが優しくて、眠くなる。 「タカギ、またあした、ね?あしたもむしとりたいな。」 「いやいや、朝まで寝るな。夕食には出てきな?」 「もうおなかいっぱい…」 もう、むり。食べれない。 「料理長がゼリー作ってくれるって。」 ぜりー。閉じそうな瞳をこじ開けて料理長さんを探すとコクコクと頷いているのが見えた。 「はぁい。」 返事をしたと同時にクレイグに抱き上げられる。 なんだか、ごはんの前後は抱っこが多いなあとクレイグの首筋に鼻先を寄せながらみんなに手を振った。

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