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第13話

   クレイグの首筋をスンスンスンスン。  ふぁ、落ち着く… 「抱っこ、ごめんなさい。寝すぎてるよね…」 「いや、ずっと一人で塔にいたんだ。俺達と話をするだけでも気力体力共に消耗すると医師もタカギも言っていた。慣れるまでは本能のままに眠いときは眠れば良い。」 「んん。いいのかな?ありがとう。ねむい、けど、少しだけお庭に寄ってくれる?僕が捕まえたてんとう虫、クレイグに見せたい。」  大きなてんとう虫。ティータイム前に捕まえて、篭をかぶせてもらっていたのだ。寝ちゃったけど、そのままにしてあるとタカギに教えて貰って、随分時間がたっているから早く逃がしてあげないと。 「あれを捕まえたのか、スミレ凄いな。」 「ふふっ。タカギがね、「ぎゃっ」ってしてた。」  タカギの眼前にズイッと差し出すと吃驚して悲鳴をあげさせてしまった。タカギは虫を触るのは嫌なんだって。  庭へ戻ると大きめの篭。  網目の隙間からクレイグと一緒に覗く。 「大物だな?」 「うん。大きすぎて、こうね、両手でガシッと捕まえたの。てんとう虫さん捕まえてごめんね?」  ありがとう、とお礼を言って篭を外すがノシノシと動くだけ。そっと両手に乗せて高く掲げれば重い羽音を響かせて飛び立っていった。 「逃がしてよかったのか?」 「うん。狭いところじゃ可哀想だもの。弱い虫じゃないって教わって、クレイグに見せたくて捕まえちゃったけど。」  そう言えばくしゃりと頭を撫でられて嬉しくてその手に頬を寄せる。 「クレイグの大きな手、心がほわっとする。」 「いつでも撫でてやる。」  その言葉が嬉しくて手を繋いで部屋まで歩いた。 「寝るか?」 「うーん…歩いてたらちょっと眠気覚めてきたよ。寝て起きてすぐにだとまたご飯食べられなくてタカギに怒られそう。」 「怒ると言っても本気ではないだろう?心配しているだけだ。」  出来れば心配もさせたくない。お腹の赤ちゃんにもにも悪そうだし…今日はぎゃってさせちゃったから次からは気を付けよう。 「クレイグはこの後お仕事は?」 「二時間程でまた戻らないといけない。」  行きたくないが戻るまでタカギが来るから寝ても大丈夫だと伝えられる。 「クレイグお仕事行くんじゃ寝ちゃうの勿体ないから起きてる事にしようかな。お話してくれる?質問してもいい?」 「俺で良ければ喜んで付き合おう。」 「んーと。何で膝の上に乗せられてるの?」 「乗せたいからだ。」  んー、そっかあ。乗せたいならいいのかな?落ち着くし。  ちょっぴり入ってしまっていた力を抜いて、ぐてっと後ろのクレイグに寄りかかるとお腹に腕が回って頭にチュッとキスを送られる。  それがくすぐったくてクスクスと笑いながら質問を考える。 「クレイグの好きな食べ物は何ですか?」 「…質問は敬語なんだな。」 「え?そうかも!ふふ。何でだろう…変だね?」 「変ではないが面白いと思うぞ。あー、好きな食べ物はなんだ、肉だな。」  肉…おにく…鳥さん美味しかったなあ。 「僕もお肉好き!」 「旨かったか。良かったな?色んなもの食ってみような。」  ステーキも旨いぞと、顎を僕の頭に乗せてぐりぐりとされる。 「ステーキとかお肉の塊はお腹痛くなっちゃうからまだだめだよってライさん言ってたよ。」 「スミレは素直で可愛い。もう少し胃が慣れたら食ってみよう。」 「うん!他には好きな食べ物ある?」 「…スミレ。」 「ぼく?」 「あぁ。スミレが食べたい。スミレが一番好きだ。」  僕もクレイグになら食べられても良いんだけどな。狼さんの時にそう言ったでしょう? 「じゃあ少しだけ食べても良いよ。」 「…良いのか?」 「うん!僕、治癒魔法得意だし。」 「…そうきたか。そうじゃないな。」  む。違うの?腕くらいならなくなってもまた生やせる気がする。  生えて来なくても止血して治癒すれば大丈夫。腕がなくても魔法があるし。  そう説明するとクレイグの眉が僅かに下がる。 「クレイグさみしいの?」  悲しい顔してる。 「スミレは俺の事は好きか?タカギやライオネルは?」 「うん。好きだよ。大好き。」 「では俺らの腕がなくなっても良いと思うか?また生えてくれば一度は血を出しても良いか?タカギは魔法が使えるから腕がなくなっても、赤子をその腕に抱けなくてもいいと?」 「そんなの嫌に決まってるっ、だめだよ!…あ。」  そんなの駄目だ。いやだ。すこしも傷ついてほしくない。 「大切な人が傷つくのは嫌だろう?」 「…うん。ごめんなさい。」  クレイグやタカギ達、今僕を受け入れてくれている侍女さんたちや料理長さんたち。みんな、傷ついたら嫌だ。 「スミレが皆を思う気持ちと同じ分だけスミレにも自分自身を大切にして欲しい。スミレに何かあったら俺は俺でいられなくなる。」  ごめんなさいと同じだけ嬉しい気持ちになってしまうのは何故だろう。 「本当にごめんなさい。ちゃんと考える。でも、じゃあ、クレイグの食べたいってどういう意味なの?」  そう問えば少しだけ目尻を下げて優しい顔をして向かい合わせに膝だっこ。 「俺の言い方が悪かったな。食べたいというのは比喩…例えのようなもとだ。こういう事がしたい。」  唇をクレイグの親指がふにふにと押し潰し、視線が交わうとペロリと唇を舐められる。  視線が外せなくて見つめてしまえば苦笑いして優しく啄まれる。 「っん。」  少しずつ少しずつ深くなっていく口づけに瞳を閉じれば後頭部に片手を添えられる。 「ふあッ、んんッ…」  上顎を舌が這えば腰がぞわりとしてクレイグの服を両手で掴んで必死についていく。唇が離れていくとき淋しくて、「くぅ」と小さく喉がなった。飲み込みきれなくて流れた唾液を舐めて、首筋から肩へクレイグの頭が埋まる。 「んん。クレイグあまえんぼさんなの?」 「お前にだけだ。」 「ふふ。かわいい。」  可愛いと伝えればムッとしたのかシャツのボタンをひとつずつ外して舐めながら時折チュッチュッと音をたてて肌を吸われる。 「んッ、やあ。なんかぞわぞわする。」 「ここか?」 「ひゃあっ」  ピクピクと腰が揺れるのを目敏く見つけられて脇腹をツーっと指が流れる。  気がつけばシャツのボタンは全開で胸の頂を潰されて咥えられて喘いでいた。 「アッ、アアッ、ひゃうっ!」  潰されていた乳首を親指で弾いて、またねっとりと舐められる。 「ここも、勃ってるな。」  クレイグの右手が僕のおちんちんを服越しに揉み込む。 「やあッ、だめっ。んあッ、」  膝に抱っこしてくれていたけど、ソファーに一人で降ろされて戸惑ってしまう。クレイグはポンポンと僕の頭を撫でて、床に膝をつく。ズボンを寛げてぴょこりと飛び出た僕のおちんちん。  クレイグの顔が、薄く空いた唇が、ゆっくりと近づいてくるのに驚いて、制止する手を素早く繋がれながら快感の渦に巻き込まれていった。  ハフハフと呼吸する僕の服を着せ替えて、満足気に髪をとくクレイグをじっと見つめる。 「これが食べたいという気持ちだ。」 「クレイグはずるい。格好いいしずるい。」  恨めしげに見ていたのだろうか。むーっと突き出た下唇を指で挟まれる。 「スミレは可愛くて我慢出来なくなる。」  その言葉に僕はハッとする。 「…クレイグ、僕ばっかり気持ちよくてごめんね?クレイグの下半身良く見ておくようにライさんに言われてるのに…大丈夫だった?」 「ライオネルの話は半分聞くくらいで丁度良いと思うぞ。それに俺もスミレの可愛い姿をみながら自分でしたから大丈夫だ。」 「そうなの?今度は僕にも食べさせてね?」 「食ってくれるのか…」 「うん。僕もクレイグ食べたいくらい好きだよ。」 「そうか…じゃあ次はこっちで食ってくれ。スミレしかできない事だ。」  こっち、とお尻をさわさわと撫でてカリカリと指先で引っ掻くものだから腰がまたぴくりと反応する。 「おしり?僕しかできないの?」 「あぁ。お前だけだ。」 「ん。じゃあ頑張るね。」

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