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第5話 美しいアルファ

 冷たい床にぺたりと座ったアユダルの下腹が、ジクジクと(うず)きアルファの性器を受け入れるオメガの性器の蜜壺(みつつぼ)が、トロリと(とろ)けて熱くなる。 「・・・んんっ!」  嫌だよ… 恥かしい! 足の間のアソコがべたべたになってる! う゛う゛… こんなのはしたないよぉ…  ぬるぬるとした淫密(いんみつ)が、じわりと染み出たかと思うと… しっとりと太ももまで濡れ… アユダルは恥ずかしくてギュッ… と足を閉じて、少しでも淫密がこぼれるのを防ごうとした。  初めて客を受け入れる準備だと… 娼館の使用人に香油を渡され、自分の性器を指で開き中までたっぷり濡らすように教えられたけど… 僕の性器は準備なんて必要ないぐらい、濡れちゃっているけど? これが普通なの? それとも、僕の身体が異常なほど(みだ)らなの?  手の中に隠した、ビンッ…! と()ちあがったアユダルの小さなペニスからも、とろとろと淫密があふれている。  本人は気付いていなかったが、自分の身体の激しい性的反応にアユダルが動揺すればするほど、アルファを(とりこ)にする甘く濃厚な誘惑フェロモンが、悪酔いしそうなほど放たれていた。 「…アユダル?」  泣きそうになっていたアユダルの頬を、客がなで…   「あっ!」  太く(たくま)しい腕で抱き上げられ、アユダルは簡素なベッドへと運ばれる。  恥かしくてベッドの上で身体を縮めて、アユダルが小さくなっていると…  客はアユダルに背を向け、ベッドに腰を下ろし、騎士用のブーツと、着ていた残りの服をすべて脱ぐ。  増々、客から放たれる、刺激が強いアルファのフェロモンが、息苦しいとアユダルが感じるほど濃くなった。  目が吸い寄せられるように、客をこっそり盗み見ていたアユダルは… 客が放ったフェロモンが訴えかけて来る、性的主張がすべて自分に向けられたものだと気づくと、ひどく興奮した。 「……ん」  この人は、こんなに僕を抱きたがっているんだ? こんなこと初めてだ! 娼館に来る前は、地味で平凡で子供のようだと、僕はバカにされていたのに… 何て皮肉なんだろう? こんなに美しくて素敵なアルファが、この僕の裸とフェロモンに反応して発情しているなんて!  全裸になった客がベッドにのり、アユダルに覆いかぶさって来た。  その時、アユダルの視界に入った客の性器が、ギョッとするほど大きくなり、力強く起ちあがり張り詰めている。  ドクンッ…! と心臓がはねて、アユダルの足の間から、また淫密がこぼれ… いつの間にか、客を受け入れることに対して恐怖も怯えも感じなくなっていた。  僕はきっと、男娼にしては幸運なんだ?    ハァ―――ッ… とため息をつき、アユダルはうっとりとアルファのフェロモンを吸い、深呼吸をする。  

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