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第11話 優しい愛撫 

  赤く()れるまで唇を(むさぼ)られた後、アユダルは敏感な首まわりにレウニールの高い鼻をこすりつけられた。 「アユダル… アユダル…! お前のフェロモンを感じていると、今にも溺れてしまいそうだ…」   低く(つや)のある声でうっとりと褒めながら、レウニールはアユダルの細い首筋をキュッ… キュッ… と甘噛みした。 「ああっ…! んんっ…! んんっ…! 僕も同じです… レウニール様のフェロモンが、僕を発情させたから…」  避妊と一緒に、うなじを噛まれても“(つがい)” にはならない魔法をかけられているのに… うなじの近くを噛まれると… こんなにも敏感に感じてしまうんだ?! それとも僕がレウニール様の、フェロモンで発情しているから、感じやすくなっているのかな?  敏感な首まわりを甘噛みで刺激され、アユダルは背筋を走るしびれのような(うず)きでビクッ… ビクッ… と腰をはねさせる。 「お前のフェロモンは、何て美味しそうなんだ…!」 「レ… レウニール様… 僕のフェロモンが好きですか?」 「ああ、とても好きだ! 最初は白ブドウ(マスカット)のように(さわ)やかだったのに… こうして私が愛撫をするたびに少しずつ… 甘さが増して… 良く熟れた黒ブドウのように芳醇(ほうじゅん)になった… 最高級の貴重なワインを、味わっているみたいだ!」 「ふふふっ… 嬉しい!」  僕のフェロモンがどんなものなのかは、自分ではわからないけれど… レウニール様に気に入ってもらえて、すごく嬉しいなぁ!!  ハァッ… ハァッ… ハァッ… と熱い息をはきながら、レウニールがアユダルの耳をぺろりとなめて謝罪した。 「お前は抱かれるのが初めてだから、もっと優しく抱いてやりたかったが… とても我慢できそうにない! すまないアユダル!」  元はと言えば、セルビシオ伯爵家の令嬢アグハが誘惑しようと、オメガの誘惑フェロモンでアルファの本能を刺激したからだった。  亡くなった婚約者ペルフメと家族への、贖罪(しょくざい)哀悼(あいとう)の気持ちから… この2年間は抑制リングを使い、発情を押さえレウニールは禁欲生活を送って来た。  そこへ不意をついたアグハ嬢のオメガ・フェロモンに刺激され、レウニールの身体はアルファの性的欲望が暴走し、抑制リングだけでは制御できず… オメガを抱いて欲望を満たすまでは、発情が治まらなくなってしまった。 「レウニール様… 僕は男娼ですよ? どうか、あなたの好きな抱き方をして下さい!」  本当に… こんなに優しくされちゃうと、僕は自分が男娼なのを、うっかり忘れてしまいそう! もちろん優しくされるのは、嬉しいけど… でもこんなに親切にされて、お金をもらうのが心苦しい… 何より僕は、この身体でレウニール様を喜ばせたい!  完全に発情した身体の熱で、アユダルもレウニールと同じようにハァッ… ハァッ… ハァッ… とあらい息をはきながら微笑んだ。   「それなら、遠慮なくお前をいただくとしよう… 後で嫌だと言っても、始めたら私は止められないからな、アユダル!」  ツンッ… と尖ったアユダルの小さな乳首を、かたくて太い指でつまみ、反対側の乳首をレウニールは夢中で吸い始める。  ヂュチュ… ヂュッ… ヂュクッ… チュッ… ヂュッ… 「あっ… ふうっ… レウニール様… んんっ…! んんっ…!」

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