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プロローグ(7)

 その間にもオレの尻の穴の中に突っ込んだ神楽の指は目いっぱい動いている。  ひとつは下肢から。もう一つの手は、オレの舌をなぞっている。  無理やりこじ開けられた閉じられない口からは唾液が流れ落ちる。 「――フフ。綺麗だよ、古都。両親の前で抱かれるのはせめてもの手向けだな」  神楽は言うと、ぐるんとオレの身体を回転させると尻を突きだした格好にする。  まるで、自らこの行為を望んでいるようだ。  少し視線を伸ばせば、そこには父さんと母さんの冷たくなった屍が見える。  厳しいけれど、頼りになった力強い父さん。  乱暴なものの言い方をするオレを優しく見守ってくれた母さん。  父さん……。  母さん……。  ふたりを殺した相手に、オレは身を捧げるのか?  いやだ。  嫌だ!!  鋭い痛みを感じている両足を動かし、オレを組み敷いている神楽のみぞおちを蹴った。  神楽の苦痛を知らせる声と一緒に、ぎりりと痛むのは未だ絶えず鮮血を流し続けているオレの足。だけど、そんなことをかまっていられる余裕なんてない。 「貴様!!」  目の前にいる神楽の金の瞳は血走り、大きくひらいている。  ある程度痛みを感じさせることはできても、やっぱりこんな状態じゃ神楽を痛めつけるまではできなかった。  正直、すごく怖い。  両足に傷を抱えたオレがこんな奴から逃げ切れるなんて思えない。  そうでなくても、神楽はもっとも力があるオレの父さんを無傷で殺した相手なんだ。  だけど、でも今は逃げたい。  こんな奴に何もかもを奪われたくない。

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