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第2話・癒えない傷。(3)

 ――っ、はあ?  バッカじゃねぇ?  落ちたんじゃなくってオレが自分から飛び降りたんだよ。  それにお前が悲しい顔する必要なんてないし、謝る必要もない。  オレがこうなることを覚悟でしたことだ。  それなのに、幸は自分の失態だと責めている。  なんなんだよ、調子狂う。  どうせオレを売り飛ばす気なんだろ?  だったらそんなに心配する必要ないじゃん。  悲しそうな顔してさ……。  ――ああ!  もうわかったよ。オレが悪かったって!!  オレを顔近に寄せて謝る幸に、謝罪の意味を込めてほっぺたをすり寄せた。 「古都(こと)はかわいいね……」  目を細めて微笑む幸。 『かわいい』……って、冗談じゃない。  オレは男だ!  父さんや兄ちゃんたちみたいにカッコよくなりたいのっ!!  幸の、『かわいい』がいちいち癪にさわる。  オレは幸の腕から逃れようと身を捩った。 「ああ、動かないで。傷の手当てをするから……ね」  オレは飛び降りる前の、ほわほわした場所にふたたび降ろされた。 「いい子だから、少しだけ待っていて」  オレの頭をひと撫ですると、どこかに行ってしまった。  言うとおりにするのは癪だけど……。  ココから出るのはすんげぇ痛い……。  仕方ないから大人しくしててやるよ。  ほわほわしている足場に伏せて、しばらくの間、出て行った幸を待っていると、ガチャリとドアの音が聞こえた。  耳だけをヒクヒクさせる。 「よかった、ちゃんとジッとしてくれてた」  目は瞑ったまま幸と顔を合わせないオレに、ため息をつく幸。

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