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第2話・癒えない傷。(4)
目を瞑ったままなのは、いくら手当てだからって幸を待っていたなんて思いたくねぇもん。オレは誰も頼りになんてしない。オレは……ひとりで生きていくんだ……。
そう思うと、オレの胸がズキリと痛む。
おかしいな。胸の奥は傷なんて負ってないのに……。
そんなオレの後ろ足を幸がそっと持ち上げた。
ズキンッ。
いってぇ!!
「ギギッ!」
あまりの痛みに身体がビクンと反応する。
「ごめんね、痛いね」
幸はオレの身体と同じくらいの大きさの白い箱を隣に置いた。
幸が中を開けたら、その中にはオレの足に巻かれているのと同じ白い布とかハサミが一式入っていた。
「少し沁みるけど……ごめんね」
さっきから謝ってばかりいる幸がおかしくて、思わず笑ってしまいそうになる。
そうしている間にも、幸はオレの足に巻いていた包帯を慣れた手つきで取っていく。ほどなくして真っ赤に染まったオレの足が見えた。
すごく出血してる……。
足の傷は、幸の言うとおり、おもいきり開いてる。
……道理で痛いはずだ。
自分のことなのに他人事のように感心しているオレは、きっと介抱しようとしてくれる幸が居るからだ。――って、オレは幸のことを全部信用したわけじゃないからな!!
なんて思っていると……。
ズッキーン!!
いってぇぇぇぇぇええええ!!
「ギーーーーッ!」
幸は水気が混じった布を真っ赤に染まった足に押し付けてきた。
何するんだ!!
やっぱ、コイツオレの敵だ。
とうとう本性を現しやがったなっ!!
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