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第2話・癒えない傷。(6)

 今の状況が父さんと母さんを失った時とそっくりで、オレの記憶を鮮明に蘇らせる。  そしたら、さ……。  ふわり。 「!!」  ふいにオレの身体があたたかいものに包まれた。 「大丈夫。ここは君に危害を加えるものはないから……」  その声は、弱っているオレの心にスッと沁みて中に入ってくる。 「大丈夫だよ」  何度も何度もそう言って、オレを宥める。  幸は残酷な人間なのに……。  コイツはいくらオレが攻撃を仕掛けても暴力を振らない。  それどころか、オレを優しく包み込んでくれる。  幸……。  父さんと母さん、死んじゃった。  オレ……本当はひとりなんて嫌だよ。  ……怖いよ。  兄ちゃん……。  会いたい。  家族に会いたいよ……。  オレは優しい幸の腕の中にほっぺたをすり寄せた。  そしたら幸は傷の手当てを中断させて、ずっと頭を撫でてくれるんだ……。

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