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第3話・ひとりといっぴきの奇妙な関係。(2)
『サケ』というのは無論、綺麗な川で泳ぐ、キラキラした鱗を持つアレのことだ。
何を隠そう、オレはその魚が大好物だったりする。
それはココへ来て、はじめて『消毒剤』を意識がある時に塗られたその日。幸はオレの目の前にそいつを置いたんだ。
あの紅色の……魚を!!
オレは迷いもなく紅色のヤツを口に運んだ。
それはものすごい勢いで。
その日からかな?
幸はオレの好物を知ったんだ。
んで、こうやってオレの好物を獲物に『消毒』という地獄を味わうことになるんだけど……。
「さ、どうする? 古都?」
っくぅぅぅ……仕方ない。
大人しくしてやる。
オレはもがく足を止めて、大人しくチョコンと座った。
観念したオレの姿を見た幸は、お日さまのようなまん丸な瞳を強調させ、マジマジと見つめてきた。
ちくしょう、やるなら早くしろよ!!
こっちはすんげぇ痛いのを覚悟で座ってるんだ!!
そう思っていると、幸はオレの決意を理解したのか『消毒剤』を染み込ませた布を傷口に当ててきた。
ちょん。
……っくぅ。
ちょんちょん。
っくぅぅぅううう!!
何度も『消毒剤』を塗られるたび、激痛がオレを襲う。
痛みを我慢するオレの目は涙がたまってくる。大きな雫が目からぽろぽろと零れ落ちる。
いてぇ……。
すんげぇ、いてぇ……。
傷口がピリピリする。
「古都は不思議だね」
何度も傷口に沁みる布を押し付け、痛みの所為で目からほっぺたを流れる大粒の涙を、幸は空いている手でそっと掬い取って、ぽつりと言った。
何がだよ? こっちはものすげぇ痛いんだぞ!?
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