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第3話・ひとりといっぴきの奇妙な関係。(3)

 オレは睨んで続きの言葉を待つ。 「俺の言葉を理解しているようだ。普通の動物とは違うというか……頭がいいね、お前は」  当然だ。  オレはただの狐じゃない。  狐が妖力を持ったれっきとした『あやかし』なんだ。  しかも、妖狐族の王の子供。頭がいいのはそのおかげだ。  勝ち誇っているオレに、次の瞬間、幸は言葉の一撃をくらわす。 「暴れん坊さんだけど……」  っんな!!  オレは暴れん坊じゃねぇ!!  大人しくは……ないかもしんないけど……。  なんだよそれ、すんげぇ侮辱じゃねぇか!!  オレは幸の言葉にムカっとして、もう一回睨む。ついでに両際にある牙も強調させてみた。 「ああ、ごめんごめん。でもね、そんな古都がかわいいよ」 『かわいい』ここに来てからそればっかし言われる。  まあ、今のオレは狐だし?  人間の幸に比べたら小さいし?  だけど、人型になったら、かわいいなんて言わせねぇからな!!  今に見てろよ!!  決意をたぎらせ、人型になったオレを見た時の驚く幸の姿を想像すると結構面白い。 「はい、できた。さ、朝ごはんにしようか」  オレの傷ついた足を白い布で覆った幸の言葉に飛び上がり、地面を歩こうとするけど……ひょいっとオレの身体を抱きかかえられた。  あ、いや。あの幸さん?  オレ、少しだけなら歩けますけど?  なんて思ってチラリと幸の顔を見上げると、にっこりと微笑まれてしまった。  どうやらリビングまで運んでくれるらしい。  まあ、たしかに歩くと痛いけどさ……。

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