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第3話・ひとりといっぴきの奇妙な関係。(4)

 でも、だからといっていつまでも頼るのは自分が何もできないみたいで嫌だ。  なんだけど……こんなのも悪くないって思ってるのもたしかなんだよな……。  仕方ないから今だけは大人しく言うことを聞いてやるよ。  目を細めて幸の胸に寄り掛かるようにすると、心地いい鼓動が幸の胸を通って聴こえてくる。  トクン。  トクン。  その音はまるで、母さんの胸に抱かれてるような感覚になる。  あったかい。  まるで、ひだまりの中で寝転んでいるような感覚だ。  目を閉じれば眠ってしまいそうになる。  数段ある階段を下りると、すぐに調理場だ。  そこは『リビング』というものだと、父さんから聞いたことがある。  なんでも、人間はリビングで色々な食材を使って調理をするらしい。  人間の食べ方は様々で、焼いたり、蒸したり、揚げたりするらしい。よくは知らないけど。  そんなオレの心情を知らない幸は、ほわほわした四角い小さな布の上にオレを降ろした。 「少し待っていてね」  オレの頭をひと撫ですると、サケを入れている箱に向かった。 「はい、どうぞ」  目の前に出されたのは平たい容器の上に乗った紅色の魚。  こんがり焼き色がついている。  オレとしては、生の方がうまいし好きなんだけど、「お腹をこわすといけないからね」と幸はわざわざ焼く。  まあ、同じサケだからいいけどな。細かいことは言わないさ。  サケを目の前にしたオレはさっそく口に運ぶ。その隣で幸は椅子に座ってオレと同じサケを食っていた。

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