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第3話・ひとりといっぴきの奇妙な関係。(6)

 食べにくいったらありゃしねぇ。  人に見られながら食うとか難しい。  だけど、その優しい視線を邪険にすることが出来ないのは、幸が仕事をしている間、彼女がオレの看病をしてくれたからだ。  まあ、感謝はしてるんだよ。  本当は死ぬかもしれなかったオレをここまで回復させてくれたし、大好きなサケを食べることが出来たんだからな。 「加奈子ちゃん、どうしたの? 今日はたしか学校が1限からあると聞いたけれど?」 「あ、はい。学校は1限目が休講になったので来ました。あとの授業は3限からなので、お手伝いに……」 「いいのに、そこまでしなくても」 「あ、アルバイト代はいらないので大丈夫です。わたしが、ここに来たかっただけですし、鏡さんのお手伝いを……動物さんたちのお手伝いをするのが好きなだけですから」  微笑む幸に、彼女は顔の前でパタパタと両手を振った。  ふ~ん、『幸のお手伝い』ねぇ。  せっかく気を取り直してサケを頬張っているというのに、彼女の言葉にひっかかりを覚えた。  ……って、だから、オレ何なんだよ。  なんで彼女のことが気になるんだろう。  そう思っても、この気持ちは今までに経験したことがないものだったから何もわからない。 「……フフ。ありがとう、加奈子ちゃんのような一生懸命働いてくれる娘が居てくれてとても助かるよ」  そう言うと、幸は椅子から立ち上がった。サケが入っていた容器を見れば、もうサケは骨だけになっていた。  オレも幸につられてムクリと起き上がる。 「うん、もうすぐ時間だね。じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな」 「はい!!」  彼女はそう言うと、膝を上げて幸と笑い合った。

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