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第4話・『いっぴき』と『いっぴき』(1)

「ニャアアアッ!!」 「ああ、リンちゃんそっちは危ないよっ!!」 「加奈子ちゃん、そっちに行ったよ!!」 「はい!!」 「ニャアアアアアッ!!」  窓から入ってくる太陽のまっ白い光が部屋全体を照らし、オレの丸まった背中をあたためてくれる。  時刻は昼を迎えようとしている頃。  ベッドの上でゆったりくつろいでいたっていうのに、下の階からけたたましい音が聞こえた。  ついでに物が割れる音も――。  もう! 何なんだよ!  これじゃあ静かに眠れないじゃんか!! 「ギシャアア!!」 「きゃー!! 鏡さん!!」 「ああ、リンや。静かにしておくれ」  けたたましい音と猫の鳴き声と幸、それに加奈子と……聞き覚えのない老婦人の声は一階にある動物病院の部屋からする。  静かにしろよな。  ったく、人間っていうのはどうしてこんなに騒がしいんだろう。  オレは重い腰を上げ、山の頂上でも居るように思わせてくる高いベッドから下を見下ろした。  固い地面には狐の姿をしているオレよりもひと回り大きくて柔らかいブルーのクッションがある。  これは幸が用意してくれたもので、オレがよくベッドから抜け出そうとして飛び降りていたから、傷が悪化しないようにと敷いてくれたものだ。  飛び降りるたびに傷が広がり、幸は傷がなかなか治らないと嘆いていたからな。  敷いているそこ目がけてジャンプすると、ボフンと鈍い音を立ててオレの身体を受け止めてくれる。  おかげで足も痛くないし、身体も無理な体勢を取らずに着地できるというわけだ。

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