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第43話

 ともあれ設定に根差して、服従する方向へと操られる形だ。冷ややかな眼差しを向けられてすくみあがり、それを合図に人差し指が仕切り直しと言いたげに、太腿をジグザグに這い進む。咄嗟に背もたれにしがみつくと、 「お行儀が悪い、じっとする」  いかがわしい響きを帯びた叱声を浴びる。足ぐりのゴムを引っぱって生じた、への字の隙間から指をもぐり込む。 「ダメぇ、そこは駄目なのお……!」  派手にもがくと(体操服がめくれるよう作為的に)、両手をひとまとめに握られて軽くねじりあげられた。もちろんアドリブの連続だが、役にのめり込むにつれて、Mっ気が開花していくようだ。  細マッチョな肉体に、いたいけな少女の魂が宿って、ソファならぬ体操マットの上で艶事(つやごと)のイロハの手ほどきを受けるような……。  世良は頭をひと振りした。愛一郎……もとい、役柄にふさわしく愛ちゃん。反撃に出ないとセクハラ教師に好き放題にもてあそばれちゃうよ、キンタマに蹴りをおみまいしな……足が触れるとイチモツがしょんぼりするといった後遺症が残ると困る……、 「ひゃ、ん……!」  果たして、わざとか偶然か。くっ、と乳首を押されて腰が跳ねた。スミレの蕾のようにひっそりと在る、ちっちゃな乳首を体操服の上から狙い(あやま)たず捉えたのだから、恐ろしいまでに勘が冴え渡っているに違いない。  実際問題、アコヤ貝が網にかかったら漁師はに賭けて殻をこじ開けてみるだろう。  身の間から天然の真珠をほじくり出す(てい)で、くりくりと乳首を揉みつぶされると電流めいたものが全身を走り抜ける。  あわてて指を引きはがすと、お仕置きと言いたげだ。もう片方の乳首に照準を定めてつつきのめすにしたがって、レンズ越しの双眸が妖しく光りだす。  かたや、ちょうちんブルマの中は注意報が発令される事態を迎えていた。企みを秘めた指がTバックの(へり)に沿って、渦巻き模様を描きながらへ接近していくのだから。 「タ、タイムを要求します!」  そう叫びざま三角座りに縮こまった。だがセクハラ体育教師に変身中の若草ときたら、よけい調子づく。ふぐりの、丸みを帯びたデコボコを写し取るかのごとく指を蠢かし、あまつさえ、 「授業はひとコマ五十分。休憩するのはまだ早い」  耳たぶを食むように囁きかけてきて抵抗を封じる。  くたりと一瞬、力が抜けた。そう、ふぐりのぐるりを執拗になぞられた結果はもちろん、にょきにょきにょっきりに決まっている。  ただでさえ貯水率……いや貯精率はほぼ満タンとあって、いつ、しみ出してもおかしくない。静まれと念じると、かえって下腹(したばら)が甘やかにざわめくありさまで、大きく伸びをするように穂先がTバックからはみ出すのは時間の問題……。

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