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第4話

ぐじゅぐじゅ、じゅぶじゅぶと、波音でも掻き消すことができない粘度の高い音が絶え間なく空間を満たす。 晴希は恭介の雄を頬張り、頭全体を動かして激しく吸い扱きながらも、それを受け入れる場所を自ら解していた。 窄まりから卑猥な音を響かせるボディオイルの強烈なココナツの香りは、ねっとりとした熱帯夜の空気と混じり合ってむせるほどに濃密だ。 「もうええ?」 堪えかねたように小声で問う恭介に、 「だめ。もっとトロトロにしてから」 と晴希も小声で返すが、本当はもうとっくにとろけて逞しい雄を飲み込みたがっている。 しかし、恭介が自分を欲しがっているこの状況が嬉しくて、少しだけ焦らしてやりたくなったのだ。 だが、既に自分の指を三本()んでいる穴に、いきなり恭介の中指をねじ込まれて思わず声が出た。 「もうトロトロみたいやけど、もっと?」 十分に解れた中の感触と堪えきれない喘ぎ声に、晴希が単に焦らしたがっているだけと悟ったのか、恭介が意地悪く笑った気配がする。 恭介はオイルでぐちゃぐちゃになった熱い肉筒の中で、晴希の指に自分の中指を絡めた。 思わず動きを止めてしまった晴希の三本の指を、中で一本ずつぬるぬると扱くように愛撫する。 その卑猥な動きにあっけなく余裕を奪われてしまい、「もう欲しい…」と結局自ら強請(ねだ)ってしまった。 「あ…あ…あ…」 あれだけ猛っていたのに、気遣いからかゆっくりと埋め込まれていく恭介の雄に、どこまで開かれていってしまうのかと恐怖すら感じて途切れ途切れに声が漏れる。 その固さも太さも長さも口と手で十分確かめたはずなのに、体が無意識で予想していた場所を通り過ぎても止まらず入り込んできて焦る。 膝裏を掴んで大きく割り開かれた足は閉じることもできなくて、入口を締め付けるささやかな抵抗など意に介さないかのようにずぶずぶと埋め込まれていく。 そのまま奥の奥まで開かれてしまい、ようやくすべて収まった時には、晴希はもう切れ切れに息をつくことしかできなくて、体全部を明け渡してしまったような感覚になっていた。 「しんどかったら言ってな」 やさしい言葉をかけつつも、動き出した雄は凶悪だ。 最初は確かめるように小刻みにゆっくりと動いていたのに、一挿し毎に長く速いピストンに変化していく。 卑猥な言葉と喘ぎ声で男を楽しませるよう仕込まれた期間が長すぎたせいか、晴希は自分でも呆れてしまうほど声を我慢することができずにいた。 葦簀(よしず)は声も音も遮ってはくれないし、通りがかった人が横から少し覗き込んだだけでこちら側が丸見えになってしまうのに。 なんとか声のボリュームだけでも抑えようと、恭介が突くのに合わせて「あっ あっ」とできるだけ小さく喘ぐが、その分腰を打ち付けるパンパンという音がやけに大きく響いて生々しい。 誰かに聞かれたら困るのに、その音は恭介の力強い積極的な腰使いを思い知らせてくれて、興奮と嬉しさで頭も体もいっぱいになってしまう。 ずっとこのまま突いてほしくて、恭介の動きに合わせて緩く腰を動かしつつも、両手で自分のぺニスを握り締めて快感の波をなんとかやり過ごしていたが、恭介はそんな生温さを許してくれる気はないらしい。 「手ぇ放し」 晴希は言われるがままにそっと両手を離したが、縛られていない両手はどこに持っていけばいいのかわからない。 戸惑いを隠せないまま宙で快感に手を戦慄(わなな)かせていると、その唐突な物慣れない様子をどう思ったのか、 「自分で乳首弄っとき」 と、それが当然だとでもいうように、恭介はやっぱり少し意地悪に笑って言った。 役割を与えられた晴希の両手は迷いなく自分の両乳首に伸びて、思い切り捻り上げたいのを堪え、注挿のリズムに合わせてゆるゆると指で摘まんで扱き始めた。 胸にも垂らされたココナツの香りのオイルは、ぬるぬるとその動きを助けている。 限界まで長く固く勃ち上がった乳首を、恭介に向かって更に引き伸ばすように親指と人差し指で摘み、ゆっくり扱く。 支えを失ったはちきれそうな晴希のぺニスは、恭介のリズムに合わせて頼りなく上下に揺れていた。 腰を使いながらも食い入るようにその姿を見ていた恭介は、目に入りそうな汗を振り払い、膝裏を押し広げていた両手を放したかと思うと、急に強い力で晴希の腰を掴んだ。 そして晴希の腰を全力で自分の股間に打ち付けると同時に、自らも腰を思い切り突き出した。 内臓が押し上げられるほどの衝撃に大きな悲鳴を上げながらも、手を止めてはいけないと晴希は必死で乳首を扱き続ける。 胸を突き出し、背を反らせた無防備な体勢で、腰を掴まれて奥の奥まで何度も突きまくられた。 限界まで引き抜いてから、バチンバチンと肌を張るような音を立てて奥まで叩き込まれる。 欲情の全てを思い知らせようとするようなその勢いに、晴希はもちろんもう何一つ我慢することなんてできない。 「いやあぁぁ!いくぅ!いくぅ!いっちゃ…死んじゃうからぁぁ!」 と辺りを(はばか)らない大声で泣き喚き、乱暴に揺さぶられていたペニスからあちらこちらへと白濁を撒き散らしながら、長い絶頂を迎えた。 そして少し遅れて恭介の熱い迸りを腹の奥で感じると、もはや無意識で乳首を思い切り捻り上げながら、連続した絶頂に痙攣した。

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