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第3話

その日の夜 「どうだった、配属1日目は」 「聞いて下さいよ~…俺、あそこでやっていける気がしないです」 藤堂は近くの居酒屋である人物と飲んでいた。 「ま、まぁまぁ、そう落ち込むなって」 「落ち込みますよ~…せっかくの昇格があんな地獄の様な場所だなんて…」 めそめそする藤堂を慰め、酒を勧めるのは 「いいですよね、志摩さんは~…」 「そのさん付けやめろよな。ちょっと俺のが入ったのが早かったってだけなんだからよ」 警視庁捜査一課の志摩望だった。 彼は捜査二課でかなりの功績を残し、新人という立場でありながらスピード出世を成し遂げるという期待の新人であった。 「いや、志摩さんはとっても素晴らしいです!…色々聞いてるんですから」 口を尖らせ志摩の事を話す藤堂は酒を煽ってはうなだれる。 「でも、お前が配属された港湾厚生局麻薬取締部の課長とエースの2人はかなりの功績を残してるんだぞ」 「エースって誰ですか…まさかあの古賀とか言う人じゃないですよね」 「初日から会えたのか!!良かったな運がいいぞ。お前」 古賀の名前を聞いて志摩が藤堂の肩を強く叩く。 「いって。そんなに凄いんですか…」 (そんな風には見えなかったんだけど) 興奮する志摩とは裏腹に藤堂は冷静に志摩から話を聞いた。 「あの人はな、アメリカの公安に引き抜かれるほどの実力の持ち主なんだ」 その言葉を聞いた藤堂は疑いの目を向ける。 「そ、それ…ほんとなんですか…?」 「本当だよ。でもなんかが原因で日本に戻ってきて今の席についてるらしいけど…」 志摩はそれだけ言うと、グラスの生ビールを喉に流し込んだ。 「ま、腕のいい人達ばかりが集まってるから勉強になる事も多いと思う。最初はしんどいだろうけど頑張れよ」 藤堂は志摩に生返事だけ返し、自分のグラスのビールを飲み干した。

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