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第10話
数日後
ピアチェーレセスワーレのサンプルを無事手に入れた捜査課の2人は同じ部の鑑定課に来ていた。
「どうだ?終わったか」
古賀がノックもなしに部の奥にある扉を開け、試験管やら実験器具の様なものが乱雑に置かれておりごちゃごちゃの室内に藤堂は驚くが古賀はすいすいと部屋の中へと入っていき奥に座ってがっくりと肩を落としている鑑定員に話しかける。
「…ん?あぁ…古賀さんか」
居眠りをしていたのかガクリと椅子から落ちそうになりながら鑑定員が古賀の事を視界にいれた。
「何だ、何日も泊ってたのか?」
大きく伸びをする鑑定員に労いの言葉をかける古賀の姿を見て藤堂はこんな人でも礼が言えるのかと思ってしまう。
「大事なお薬の鑑定ですから。…この薬物なんですが」
へらりと笑いながら頭を掻き照れる鑑定員は、古賀の持ってきたピアチェーレセスワーレの成分についての説明を古賀にし始める。
藤堂も聞き逃してはならないと思い、急いで懐からメモを取り出し鑑定員の話していることをきちんとメモを残した。
鑑定課を後にした二人は廊下を歩きながら事件についてを話し始める。
「古賀さんから色々聞きましたけど…」
自分のメモを見返しながら藤堂は難しそうな顔をしては首を捻った。
「追い甲斐があるだろ」
古賀は藤堂の顔を横目に見ると鼻で笑い、煙草が吸いたいのか懐から煙草の箱を取り出しては
握りしめ喫煙室へと大股で歩きだす。
「追い甲斐があるって…古賀さん次はなにするんですか」
藤堂が大股で歩く古賀の後ろを追いかけるように小走りで駆けていくと古賀が振り向き何食わぬ顔で言う。
「何もない。情報掴んでないからな」
その言葉に藤堂が足を止める。
「え?」
「だから、何もない」
それだけ言うと古賀は箱を持っていない方の手を上げ、ひらひらと振ると喫煙室へと向かってしまった。
廊下に置き去りにされたと藤堂は小さくなっていく古賀の背中を見つめながら肩からずるりとスーツのジャケットを落とすのであった。
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