11 / 33
第11話
喫煙室から帰ってこない古賀を気にしながら藤堂は事務作業にいそしんでいた。
「ったく…なんで俺がこんなに振り回されなきゃ…」
小言をブツブツと呟きながら慣れない事務作業に苦戦していると課の扉が開き赤羽が入ってきた。
「なんだ、お前1人なのか」
ネクタイを緩めながらやって来た赤羽に藤堂は一礼すると古賀の所在について聞く。
「古賀さん見ませんでした?…喫煙室行ってもいなくて…」
ドカリと音を立てて椅子に座り、机に山のように積まれた資料やらなにやらを漁りながら藤堂の問いかけに答える。
「あ?…あ~…多分そろそろ来ると思うぞ。出かける準備しとけよ」
何故出かける準備をしなくてはならないのか疑問に思いながら一応、身の回りを片し出かけられる準備をしておきパソコンの画面を睨むように見つめ直すと事務作業に戻る。
すると赤羽の言った通り数分すると古賀が戻ってき、来て早々出かけるぞと言った。
「おい、出かけるから準備しろ」
「あ、もう出れます」
藤堂は跳ねる様に椅子から立ちあがり、古賀の方へと向かうと出かけようと扉に手をかける。
「なんだ、珍しいな…」
古賀は藤堂の準備の良さに面喰ってしまう。
「俺が出かける準備しとけって言ったんだよ。どうせあそこに行くんだろ」
それを聞いて古賀はそういう事かと理解をし頷くと、赤羽にどこに行くのか行先を伝える。
「今の手持ちの情報はないので聞き込み、行ってきます」
「どーぞ。緊急があったらお前の携帯に電話かけるから3コールで出ろよ」
古賀は返事をし藤堂を引き連れて出ていくと地下駐車場へと向かい、車へと乗り込んだ。
シートベルトを締め、古賀に行先を聞くと古賀はエンジンをかけながら答える。
「聞きたい情報は知ってる奴に聞きに行くのが一番だ」
エンジンをかけると古賀はアクセルを踏み車を発進させると地上へと出ていく。
「知ってる奴って誰なんですか?」
「ん?そんなの1人しかいないだろ」
(誰だよ!!)
教えてくれない古賀にイラっとしながらも助手席で黙り古賀の運転に付き合った。
ともだちにシェアしよう!