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第23話

部屋の中は甘ったるく重たい空気が充満していた。 (気分が悪くなる…) この薬の何がいいのだろうかと思いながら部屋の中を警戒しながら進む。 古賀が先行し人影に手をかけたところで突然、部屋の扉が大きな音を立てて閉まった。 「っ!!」 振り返ろうと体制を変えた瞬間、藤堂の手にあった拳銃は勢いよく弾かれると同時に関節を封じられ身動きが取れなくなる。 そしてそのまま口元を濡れた布で覆われ、思わず止めていた息を反動で一気に吸ってしまう。 口元にあてられた布から部屋に充満しているものよりも濃い匂いがし、藤堂の視界が急に霞みだす。 (まずい…!!吸ったら、ダ…メだこれ) 「藤堂!」 「久しぶりだね、古賀」 藤堂の後ろに立っている人物が古賀の名前を呼び、振り返った古賀が彼を見て苦い顔をする。 「……そいつから手を離せ、煌晻」 古賀は拳銃を藤堂に向けてではなく後ろに立っている煌晻に向けて構えると室内に緊張が広がっていく。 「この子を離したら君は僕を撃つじゃないか。痛い思いはもう懲り懲りなんだよ……それにしてもこの子が新しいバディかい?可愛い顔をしてるね。それに従順そうだ。…いいなぁ〜。僕も欲しいな、この子」 立っていることがやっとなのか身体が小刻みに震える藤堂の顔を覗き込みながら煌晻がにっこりと微笑むと彼の頬をゆっくりと舌で舐めた。 「ん゙ン゙ぅっ!?」 「んー、良い反応だ。よく効いてるね」 煌晻は恍惚とした表情で藤堂の反応を見ては追い討ちをかけるかのように、口を塞いでいた布を外すとその布を身体のラインに沿う様に滑らせベルトを緩めると、藤堂の下着の中へと入れ立ち上がった性器へとその布をあてがうと布ごしに性器を扱き出した。 「ひぁぁあっ!!ア゙っんんッ!ぅぐ、アぁぁ〜ッッ!?!?」 目が潤みだらしなく開いた口からは唾液が溢れ、その口からははしたない喘ぎ声が発される。 身体が大きく痙攣し足の力が抜け煌晻に支えてもらっていないと立っていられない。 その触れている所さえ感度が上がっているからか強く握られる度に自分の意思とは裏腹に喘ぎ声と痙攣が止まらない。 (な、んだこれ…頭おかし…) 「おっと…君のバディ、また壊しちゃったかも♡」 煌晻はそういうと藤堂から手を離し古賀の方へと投げ捨てるとその隙に横をすり抜け人影はダミーの人形であることを耳打ちし、窓ガラスを勢いよく破って部屋から出ていってしまう。 「……っ!」 古賀に多い被さり、これでもかと言わんばかりに彼のシャツを握りしめては荒い息を繰り返し、服の擦れ程度の少しの刺激でも身体が過敏に跳ねてしまう藤堂。 「はぁっ…ん、んあっ、……ふぅっ、あぅ」 「しっかりしろ、…っ無理か」 藤堂の顔を見て心身共に限界なのが解り古賀はインカムで近況を伝える。 「星の部屋にて煌晻を発見したがすまん、取り逃した」 『了解』 「移動する。後の指示は課長にしてもらえ」 そう言うと藤堂と自分のインカムの電源を切り、薬を盛られた藤堂を無理に抱き抱えると部屋の扉を思いっきり蹴り飛ばして開けた。 「っ!?」 外には応援を頼んだ捜査員達が待機しており蹴り飛ばして壊れた扉と古賀を交互に見ては唖然としている。 「部屋の薬を吸いすぎた。俺達はこの場を離れる」 古賀に抱き抱えられている藤堂の様子から異常事態である事を察する彼等の視線や声掛けを無視して古賀は急ぎ足でホテルを出ると自身の車に藤堂を押し込み、車を飛ばし車内の通信機から個別で赤羽に電話をかける。 「藤堂が例の薬を吸わされた」 「微量か?」 「いや、液状にして布越しに吸わされたからかなりの量を摂取した可能性が高い。現時点でほぼ飛んでます」 「まずいな。とりあえず薬を抜け」 「解ってて言ってます?」 「新人の身の安全が最優先だ。そのままいくと最悪死ぬぞ。現場はこっちでなんとかする。口外はしないから何とかしろ」 それだけ言うと赤羽は電話を切って現場の指揮を執る事に専念した。 古賀は大きく舌打ちをすると、自宅へと向かうのだった。

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