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第30話
「ふ〜〜ん。お世話されたんだ〜〜」
(これはまずい……!!)
「いや、あの、ちょちょっとその…」
「何されたの?」
面白がる梶とは裏腹に藤堂は何度も首を横に振り答えられないと拒否する。
(反射的に反応してしまった自分を殴りたい…!)
「人に言えないようなことしちゃったんだ。へ〜〜…」
「ご、誤解を生むような言い方…」
「藤堂のえっち」
そう言われた途端、藤堂は顔を真っ赤にし両手で隠すと俯きながら唸った。
「うぅ〜〜…俺がそんなの一番解ってますよ」
「……まぁ、あの薬のせいだし精々抜いてもらった程度でしょ」
(いや、ガッツリなんです…重ねました身体。すみませんんん…)
これ以上は何も言うまいと無表情で正面を向き無言を貫くが、鋭いのか職業柄なのか梶は藤堂の顔を見てすぐに察すると驚く。
「…え、まじ?」
「な、何も言ってませんよ!?」
「いやいや、顔に出てる。出ちゃってるから」
「うぐ……」
梶はそんな藤堂を見ては面白そうに揶揄い、古賀を揺さぶる時のネタに使おうと言った。
「俺の首が飛ぶのでやめてください〜」
「藤堂ほんとにここでやってけるの?」
「やめてください。今1番突き刺さるセリフを吐き捨てるの…!」
そうやって2人で戯れていると課の扉が開き会議にでていた面々が戻ってきた。
「何やってるんだお前ら」
戻ってきた赤羽が2人の様子を見ながら不思議そうな顔をしては自分の席へと戻っていく。
他の捜査員達も後に続いて部屋へと入り2人を見て女性捜査員達が梶の姿を見た途端、飛びついた。
「わぁ!依織(イオリ)がいる〜!!」
「あ、いや。ちょ」
「いおりーん!!珍しいじゃんこんなとこに来るなんて〜」
「ばっ!…近いです!」
「古賀さんにこき使われたの?」
群がる先輩方の間を抜けながら梶と戯れていたことを詰められぬよう事なきを得る藤堂。
(梶さんってやっぱり人気なんだ…)
遠くでもみくちゃにされる梶に両手を合わせながら無事を祈ると、全員分のお茶を入れるために給湯室へと向かった。
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