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6.
「汚れちゃって不愉快でしょ。ひとまずは着替えようか」と言う兄に着替えさせてもらい、その際にタンポンも挿入 れてくれ、食事を摂る時と同じく、膝上で背中をトントンしてくれていた。
生理の時はやっぱり優しい。
どうしてこんなにも昔のように優しくしてくれるのだろう。
やっぱり、後継ぎを産むことに繋がるからであろうか。
理由はなんだっていい。その一時の優しさのお礼という建前の、重だるいくせに性欲が強くなってしまうこのどうしようもない欲を発散してもらおうと、優しく叩いてくれている手を取って、浴衣越しに触れさせた。
ぴくりと指先が動いた。
「葵。こういうのは控えた方が⋯⋯」
「身体が熱くて。あ、おと⋯⋯さんに、慰めて欲しくて⋯⋯」
精一杯の誘っているようにも、言葉にしたら段々と羞恥心が芽生え、落ち着かなくて、彼の手の甲を触っていた。
が、碧人が黙り込んだことにより、緊張感が増した。
場違いな言動にさすがに言われるだろうか。
鼓動が早まるのを感じつつ、身構えていた。
「⋯⋯昨日、あんだけ繋がったのだから身体を休めないと。⋯⋯けど、生理のせいで欲が治まらないってこと?」
「⋯⋯ごめん⋯⋯なさい」
「いいんだよ。けど、そうか⋯⋯」
何やら考えている様子の兄に、眉を下げながらその様子を見守っていた。
どちらにせよ、困らせてしまっていると「自分でどうにかするから、大丈夫」と口にしようとした時、碧人は言った。
「じゃあ、心の繋がりを重要とする行為をしてみようか」
首を傾げた。
すると、優しげに微笑みながら頭を撫でて、こう続けた。
「ポリネシアンセックスって、知ってる⋯⋯?」
「初めて聞いた」
「そうか、僕が初めてか」
意味深長に呟いた兄のその言葉に、知らなくて良かったと内心安堵しつつ、碧人の説明に耳を傾けた。
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