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「⋯⋯前にも言ったことかもしれないけど⋯⋯にい、⋯⋯あお、とさんの身体、筋肉があって羨ましいなって。前よりももっと引き締まっているみたいだし⋯⋯。それに比べて、僕は筋肉が付くどころか、どちらの性の特徴を合わせた身体で⋯⋯」 「⋯⋯中途半端な身体だって、言いたいの?」 「え⋯⋯っ、あ、いや、そういうこと、じゃなくて⋯⋯」 思っていたことを指摘されて、しどろもどろになる。 急に言葉を失ったかのように、はくりと空気しか出てこなくなってしまった。 何か言わないと。昨日みたいになってしまうかもしれない。 結果的に怒られずに済んだものの、少しでも怒っていると思うと、怖くて仕方ない。 「⋯⋯そんな身体であっても、僕は好きだよ」 不意打ちのような言葉に、思わず顔を上げると、春の日差しのような穏やかな笑みを向けた兄の姿があった。 「将来的に子どもを産むために適用した身体になってしまって、葵はまだ受け入れられない部分があるから不安に思っているんだよね?」 帯を解きながら問われ、おずおずと頷く。 「そうだよね。急なことだからすぐに受け入れることは難しいかもしれないけど」 上半身からゆっくりと脱がされ、膨らんだ胸が露わとなった。 「葵が受け入れられない分、僕が受け入れてあげる。⋯⋯そして、僕にしか見せない身体に愛を刻んで、僕の身体を受け入れるしかない身体にしてあげるから」 「⋯⋯っ」 ふっと、影を差した笑みを見たことにより顔を強ばらせたものの、頭に口付けられたことで、行為が始まる合図を身体で分からせられた。 額、まぶた、鼻、頬と昨日と同じ順番で丁寧に優しくキスされながら、露出が増えていくのを肌で感じ取った。 するり、と左腕につっかえていた袖部分を脱がし、顎を軽く掴み、少し上向きにされると、首筋に軽くキスが落とされる。 その際に触れる碧人の吐息と髪がくすぐったくて、小さく声を漏らした。

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