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布団に投げ出していた手を取られ、待ち望んでいる昂りに触れさせようとする。 碧人が言うように、痛くなるほど扱いて、気を失うまで射精()してしまいたい。そうしたら、心地よい幸福を感じられる。 けども。 ぐっと、手に力を入れた。 「どうしたの、葵······?」 「······言っていたみたいにそうしたいけど、今日我慢したら、明日挿入()れてくれるんでしょう? だったら、今は自分で慰めたりしない」 悦びで潤む目で見返す。 あれほど綻ばせていた笑みから一変、寄せ付けない真顔へと変貌していた。 何か納得のいかないことでも言ってしまったのかと、心をざわつかせていたのも束の間、再びふっと笑った。 「そうだよね、ふふ。この数日の間も耐え続けたというのに、あと一日っていうところで、全て水の泡にするのは、もっともいけないことだよね。でも、葵は悪い子で僕にお仕置きされるのが好きだから、するのかなって思ったりもしたけど」 したことのない行為に興味を持った側だというのに、何度もそう思いかけたことを当てられ、心臓が縮み上がる。 やはり、この兄に隠し通せるはずがない。 「生理が終わりがけのようだし、明日できそうであれば、葵の望む通りのことをしてあげるからね」 新しい浴衣を着せつつ、柔らかい笑みを見せてくれる。 それに対して、どうにか笑っているように見える表情で返すので精一杯であった。

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