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35.
布団に投げ出していた手を取られ、待ち望んでいる昂りに触れさせようとする。
碧人が言うように、痛くなるほど扱いて、気を失うまで射精 してしまいたい。そうしたら、心地よい幸福を感じられる。
けども。
ぐっと、手に力を入れた。
「どうしたの、葵······?」
「······言っていたみたいにそうしたいけど、今日我慢したら、明日挿入 れてくれるんでしょう? だったら、今は自分で慰めたりしない」
悦びで潤む目で見返す。
あれほど綻ばせていた笑みから一変、寄せ付けない真顔へと変貌していた。
何か納得のいかないことでも言ってしまったのかと、心をざわつかせていたのも束の間、再びふっと笑った。
「そうだよね、ふふ。この数日の間も耐え続けたというのに、あと一日っていうところで、全て水の泡にするのは、もっともいけないことだよね。でも、葵は悪い子で僕にお仕置きされるのが好きだから、するのかなって思ったりもしたけど」
したことのない行為に興味を持った側だというのに、何度もそう思いかけたことを当てられ、心臓が縮み上がる。
やはり、この兄に隠し通せるはずがない。
「生理が終わりがけのようだし、明日できそうであれば、葵の望む通りのことをしてあげるからね」
新しい浴衣を着せつつ、柔らかい笑みを見せてくれる。
それに対して、どうにか笑っているように見える表情で返すので精一杯であった。
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