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44.
背中に回し、胸の付け根辺りに通され、嫌な胸がより強調するように縛る。
いわば、胸縄のような縛り方をあっという間にし、寝転がされる。
お仕置きをする際、決まって縛られる。あれほど嫌であった緊縛が、いつしか嬉しくてたまらなくて、満たされた気持ちになり、これはこれで望んだ形であった。
「······縛られただけで、さっきよりも興奮しているね。こうさせたのは僕で、僕の手によって、葵の欲が満たされているようで嬉しくは思うけど、それじゃあ、お仕置きにならないじゃないか」
「ご······ごめんなさ······──ううっんっ」
腫れ上がった根元を痛いぐらいに握り、悲鳴にも似た嬌声を上げる。
そんな葵人にはお構いなしに、カリ首から裏筋を通し、そして、玉袋を左右にそれぞれ縛り上げる。
両手の時とは違い、最も敏感な部分をそのような形にされ、縄が触れる度に腰が震えた。
「さすがに辛そうだね」
「は······っ、や······ふぅんんっ!」
ただ指先で先端部にちょんと触れただけだった。だが、熱を持った箇所は、熱いものに間違えて触ってしまったかのように痛み、飛び跳ねんばかりに腰を浮かせた。
「そんなにも痛がっているのなら、お仕置きし甲斐があるよ。ほら、それで自分のを慰めてみせて」
あまりにも当たり前に言うものだから、理解するのが遅れた。
手が全く使えず、しかも、今にも吐き出したい熱は痛々しいほどに縛られ、たとえ、手が自由であっても絶頂には至らない。
それでも、碧人が言うのだから、自由のない葵人はそれに従うしかなかった。
痛くて身悶えながらも、足を閉じたまま膝を立てつつ、うつ伏せのような状態となり、慎重に布団にと擦りつけた。
「はぁっ、ふ、んぅ······っ!」
真っ赤に腫れた先端部が当たった程度で、電流が走ったような痛みが伴った。
涙が溢れる。
拒んでいるようで、擦りつけようという気が起こらなかった。
けれども、これはお仕置きであって、碧人の言う通りにしないと、これよりもさらに酷いことをされかねない。
歯を食いしばって、腰を緩く振った。
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