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第2話
異世界のラジェリア大陸にある倭国。倭国は日本に良く似た国で、科学技術はないが魔法や魔道具を使い京都のような和風建築が建ち並び漢字も使われている。かつてこの世界に来た異世界人が伝えた文化。国を仕切る王族とそれを支える四神末裔がいた。白虎の一族の当主。十六夜凪は部下の時雨聖夜と供にダンジョンに来ていた。ダンジョンで手に入れた物をクリエイーという魔法が使える王家お抱えの魔法使いが場所は開催時期によって様々だが国民がチームを組んで参加出来るトレジャーハントゲームを開催するための景品として使われる。自然発生したダンジョンに国民を好き勝手に行かせるのは危険だからだ。
「そっちのゾンビ倒せたか。聖夜」
「ええ。聖職者必要。意味が分かりましたよ」
聖夜は凪の部下だが、白虎族の屋敷の近くにある協会の神父をしているのだ。聖職者が必要だと言われてダンジョンにやって来た。そのダンジョンがゾンビが大量に出現するダンジョンだった。
「ホラーなダンジョンだから何が出るかと思えば、お菓子が大量に出るなんて」
「次は子ども向けのゲームになりそうだな。この辺にして帰るか」
一際大きなゾンビを凪が腰に差した刀で切り捨てた。耳に付けていた通信の魔道具から、2人に屋敷からの緊急通信がはいった。
「十六夜さん。すいません」
「どうした」
「屋敷の池に青年が落ちてきました」
凪も通信を聞いていた聖夜も、何を言えば良いのか分からず沈黙した。池は凪の自室から見える庭にしかない。そこに青年が落ちてきた。凪が笑えない冗談と考えて声を出した。
「お前。冗談言えたのか。笑えねぇけど」
「冗談じゃねぇです。四角い物体を抱きしめて。全身傷だらけどうしやすか」
「医者に診せてください。我々もすぐに向かいます」
「わかりました、時雨さん」
通信が切れた。
「信じるのかよ。聖夜」
「信じていません。本当だったと仮定して医者に診せるように言っただけです。
早く帰りましょう。ここで話していても仕方ありません」
「帰るぞ。お菓子をすべて拾ってからな」
散らばったお菓子を全て回収して袋に詰めて、2人はゾンビダンジョンから屋敷に戻った。
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