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第6話
「カメラじゃが何に使う物なのじゃ」
不知火の興味津々の目が恭平の緊張を少し和らげた。カメラを見たことが無いのだろうか。
「人の一瞬の瞬間を留めておく道具です。見て
少し失礼します。背中を向けても大丈夫ですか」
「構わぬが1つ良いか」
「なんですか?」
「敬語じゃなくて良いぞ」
「でも、えっとその。良いの。ぼくは、なんの取り柄もないし、口下手だし。
面白みもなにもない。友達みたいに敬語抜きで話すなんて、申し訳ないです」
自分で言っていてかなり情けなくなり、泣きそうになってぎゅっと両手を恭平は握りしめた。恭平の手に不知火の気持ちの良い肉球がのった。
「自身を持つのじゃ。お主は自分を過小評価し過ぎる」
また恭平の顔を優しく不知火が舐めた。大丈夫だよと言われている気がした。
「ありがと。寄りかかってもいい。少し体が痛いから」
「もちろんじゃ」
立ち上がり不知火の側に行き、彼の体に背中を預けて恭平はカメラを起動させた。電池マークが消えている。枚数制限もない。どうしよう何の写真を見せようかな。ぼくの写真は心霊写真しかない。ぼくが撮影するのは死者の思い出。
「ぼくが撮影するのは死者の思い出なんです」
分かりやすい海での写真。カメラの画面に現像しますかと表示された。カメラが落ちた衝撃で変になってしまったのだろうか。はいを選択した。写真がカメラから飛び出した。
「なっなにこれ」
「魔道具だったのじゃな」
「魔道具ってなに?」
聞いたことも無い言葉に恭平は首を傾げる。恭平は最初に聞いておくべきだったと思った。
「ここは何処なの」
魔道具。見たことも無い高級旅館のような和室の部屋。不知火という名の白虎。白虎は神獣と呼ばれていたはず。
「ここは倭国の白虎一族がおさめる土地じゃ」
不知火はこの場所についてゆっくり説明してくれた。
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