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第10話

わたしが本当に殺さないと思っているから冗談だと思っていますか?」 時雨の言葉に恭平は首を横に振る。彼は本当のことしか言っていない。嘘は言っていない。このままではぼくは殺される。本当は死にたくない。母をこのままにしておきたくはない。ぼくが死んだらすぐに成仏してしまうのは確実。この世に未練も思い入れも無い。 「いつ死んでもいいとは言わない。まだ死ねない。まだ死ぬわけにはいかない。 ぼっぼくは自分のやるべき事をやっているだけです。時雨さん」 「強気ですね」 強気。強気か。ぼくの事がそんな風に見えているのか。ぼくは全く強くない。臆病で自分に自信の無い1人の人間でしか無い。ちっぽけで強くなんて無い。体が震えているの気付かれていないみたい。強気に見られているなら強気に見られるようにしよう。怖がっていたら何も進まない。 「ぼくは時雨さんに興味が無いだけ。さっきも言ったけど、しら、白虎様の願いを叶えたいだけ。白虎様、ここで一番思い出の深い場所に連れて行って」 「了解じゃ」 不知火が動き出した。ぼくら2人が振り落とされないぐらいの速度で歩いてくれた。 「この状況でわたしに興味が無い。面白い方だ。良いでしょう。貴方に付き合いますよ。 わたしが嘘だと判断したら殺します。良いですよね」 時雨さんの氷のように冷たい笑顔に恭平は寒気と怖さに内心震えていた。ここが自分の墓場になるかもしれない。覚悟を決めた。

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