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第3話
夕陽の赤が責めるように緒兎を照らして、用済みの診断をされた子宮に悲しく突き刺さった。
強い赤。赤ちゃん。もう二度と還らない子。
男でも女でも、名前は『希望 』にしようと二人で決めて、さざ波のように過ごした日々。
この夕陽はきっと希望だ。希望が自分を責めているのだ──そう思って、川縁にしゃがみ込んだ。
川面に映った自分の顔は、相変わらず華奢で女のようだった。体も小さくて細い。
蓮はそんな緒兎を好きだと言ってくれるけれど、きっとこんな体だから、まともに子供も孕めないのだ。そうと思うと酷く自分が恨めしかった。
「緒兎、か……?」
ふいに響いた低く優しい声に、緒兎の肩が震えた。
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