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第13話

戻って直ぐにトレーニングが始まったが、俺は十分な汗を掻くことは出来なかった。 トレーニングが終えてヨガでクールダウンしようとしても、イラ立つ心は静まらなかった。 「顔が怖いぞ、凛」 そう声をかけてきたのは、元凶の潔だった。 「……五月蝿い」 「いいんだよ、これは独り言だから聞き流せって」 話かけてきておいて、独り言の訳がない。 が、相手にしなくていいならと俺は奴を無視してヨガを続けた。 「今日ブルーロックに戻る前に冴に会ったよ。今度デートしようって」 「!?」 兄貴はきっとコイツに会うために待ち伏でもしてたんだろう。 「糸師兄弟って強引だよな」 そうだ、俺達兄弟はいつも強引だ。 だから強引にお前の身体を奪った俺は兄貴に奪われるわけにはにはいかない。 「……お前に隙があるからだろ」 俺は奴の腕を強く掴んでいたが、拒まれる気配はない。 そうだ、全て潔世一が隙をみせるから悪い。 お前は俺が好きだと言いつつも、俺以外の奴にも隙をみせる。 もう俺はお前しか、潔世一しか興味がなくなっていたのに、お前は違う。 「なんて顔してるんだよ、凛」 奴の大きな瞳に写るのはどんな俺なのか。 俺は今どんな表情でお前の前にいるのか分からなかった。 「ごめん、お前の大切な兄ちゃんは盗るつもりはないからさ」 違う、違うんだ、俺が好きなのはお前なんだ潔。 「ヤるなら場所変えよう、凛。他の奴には見られたくない」 嗚呼、結局はこうなるのか。

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