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第16話 糸師凛に俺ができること。
俺はブルーロックに戻るために、少し早めに集合場所の駅に着いたら、予想外な人物から声をかけれたに声をかけられた。
それは糸師冴だった。
「潔世一、少し話をしないか」
兄弟で顔がよく似ている冴は、凛とは違う落ち着いた声色だった。
冴は年上とはいえ俺と一つしか違わないのに、何故こんなに違うんだろう、そう思いながらも俺は冴に従った。
それは冴が凛の兄ちゃんで、サッカー意外にも興味があったからで深い意味はなかった。
向かった先はチェーン店のコーヒーショップ。
糸師冴もこんなに庶民的な店に入るのかと意外な一面に面食らっていたら、冴の手にはアイスコーヒーが二つあり、一つ持たされた。
「あ、あの……俺お金払います」
「付き合ってもらっているんだから、俺が出すのは当たり前だろう。テラスでいいか」
糸師兄弟の共通点は、有無を言わさず相手をさせることなんだろうなと思いつつ、冴にエスコートされて俺は椅子に座った。
「冴さん、話って」
「冴でいい。そして畏まらないで凛と同じように接してくれて構わない」
そんなわけにもいかなくて、でもここは頷くのが正解だと思った俺は、愛想笑いを浮かべた。
「分かったよ、……冴」
すると冴の表情が少し緩んだような気がして、この人が俺に緊張してたのか?と不思議に思った。
「世一は試合と日常のギャップがあるな」
「そうかな?」
「とても落ち着く」
「……そうかなー?」
こんな有名サッカー選手に早くも順応している自分が怖いと思いつつも、冴は怒らなかった。
「俺は日常肩を並べられる者はいらないと思っていたが、世一なら隣に置きたいと思っている」
……それはどういうことだ?
「えっと、話が見えないんだけど」
俺が冴の隣に、とはどういう意味なのか聞こうと思った次には冴は淡々とした言葉を述べた。
「そういう素直なところがお前の長所だろうが、世一は鈍感だな。そのままの意味以外の何でもない、俺は欲しい」
「?でも冴は士道がいるじゃん」
「アイツは下僕だ、俺の日常には関係はない。俺が好きなのは潔世一だ」
「……は?」
俺の頭は冴の言葉がついていけなくて、俺は首を傾げた。
「次の休暇に世一と出掛ける約束がしたい」
落ち着いた優しい表情で、ごく自然に彼は言ったが 何故冴が俺を好きになってくれたのかが思いつかなくて、俺はつい頷いてしまった。
「冴がいいんなら、別にいいけど」
すると冴は微笑した。
「楽しみにしてる」
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