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第20話 さよなら憎き想い人。

俺は他人に自分を見透かされるのが嫌いだ。 だから俺は感情を隠すようになっていた。 幼い頃の俺は結構素直なガキだったと思うが、俺の隣に兄貴がいなくなってから、他人に関わることがとても面倒だと感じるようになった。 他人に見透かされることもなく、俺の隣には誰もいなくなって、とても清々しいと感じながら俺はブルーロックに存在していた。 ブルーロックは俺のサッカー人生の通過点にすぎない、早く日本一になり世界一になるための踏み台としか認識はなかった。 なかったはずだった。 「凛、おはよ」 「凛ちゃーん、おーはよー」 最初に俺に挨拶してきた相手こそ俺が唯一認めてやってもいいと思っている奴、潔世一だ。 そして俺の憎き想い人だった。 俺は挨拶も視線を合せることもしなかった。 何故片想いではなく、想い人だと言い張るのか、それはこの潔が顔色も変えずに俺に好きだと告白してきたからだ。 俺はコイツのせいで苦悩しているのに、何を考えているのか、……きっと何も考えていないだろう。 それがイラつく原因でもあった。 「凛ちゃんは朝からイライラしてるね」 「ん、そうだな」 「潔、凛ちゃんと何かあった?」 「……言いたくない」 確かに今俺は潔にイラついている。 第一にコイツは俺が好きだと言いつつも、俺の兄貴の冴と出掛ける約束をしたことがそもそもの原因だった。 好きな奴以外から誘われたら普通なら断るだろう。 しかもよりにもよって相手が兄貴であることに俺は怒りを感じていた。 『俺は世一にアプローチをする。俺はお前に伝えたぞ、後から文句は許さない』 兄貴からそう宣告される前に、俺が潔に好意を感じていることを正直に話せればこんなことにはならなかったのだろう。 サッカーでも恋愛でも兄貴である糸師冴を越えるのが今の俺の目的になっていた。 「なんだか分かんないけど、潔も凛ちゃんも頑張ってね」 一体何を頑張ればいいのか俺は理解不能だった。 「安心しろよ、凛。俺はお前から冴を取ったりしないからさ」 きっと昨晩揉めたことを気にしているんだろう。 なんでコイツはこんなにも俺に普通なんだろうか。 俺が好きならもっとぶつかってこい、そう言いたいのに俺は何も言えずに朝食を摂った。

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