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第22話
フィジカルルームでクールダウンを終えた俺は汗を流すべく大浴場に向かう最中、いつも顔を出す潔が来なかったことが若干の気掛かりを感じていた、奴の姿を探した。
寝室もモニタリンクルームにも大浴場にも食堂にも姿を見なかった。
ならばもしかしてあの角にできた部屋に連れ込まれたのかと思って確認をしたら無人だった。
ならばトレーニングルームにいるだろうと思い室内に入ったら、潔の姿はそこにあった。
俺が入ってきたことにも気付かない奴はシュート練習をしていた。
「程々にしろよクソ潔」
「!!……なんだ凛か」
なんだじゃねぇ、コイツ本当に俺のことが好きなのかと疑いたくなった。
「今日の俺、最悪だっただろう?」
荒い息遣いを整えながら、潔は俺に話しかけてきた。
「ヌルい奴に俺は興味はない」
「だよなー、本当に情けないよ俺」
「……」
今日の潔世一はらしくなくて、俺自身反応にも困る。
俺はそのまま奴の顔を直視していたら、視線を反らしたのは奴だった。
「でも今お前の顔見てなんとなく吹っ切れた感じだ」
「……?」
苦笑いを浮かべた奴は儚げだった。
「俺はさ、好きな奴には幸せになって欲しい。でも自分の気持ちを相手に伝えても叶わない恋なら辛いだけだ」
不味い。
その先は聞きなくない言葉だと瞬時に理解できた。
できたのに、俺には止める術は持ってはいない。
「もう俺には触れないでくれよ。凛」
嫌だ聞きなくない。
「凛なら俺以外でも相手は探せるだろ?」
嫌だ。
その時に俺の中で何かが弾け飛んだ。
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