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第33話
ブルーロックプロジェクトが始まってから三年でこの育成期間が終了するというときに、勝ち抜いたプレイヤーは各国からのオファー先に飛ばされることになった。
俺は世界の強豪と名高いチームからのオファーを受けることにした。
ここならば世界一のストライカーとして自分は成長できると判断したからだった。
俺がそのチームと契約した日にスマホの着信があった。
相手は兄貴の冴だった。
「……」
拒否したことろで自己中から逃れられる術はないだろう、そう判断した俺は嫌嫌受けた。
『久しぶりだ、凛』
二歳差とは思えない俺の兄貴糸師冴の声はとても落ち着く声色だった。
「そうだな、クソ兄貴」
『契約おめでとう。俺とリーグも違うチームを選ぶとは思わなかったが、お前にとっては良い選択だ』
まだ公の場での発表をする前に知っているということは、きっと潔がチクったのだろう。
「だから何だよ」
『世一は俺はチームメイトになるだろう。それを報告したくてな』
「……」
兄貴と潔はここまで仲を深めていたことを知った俺は腸が煮えくりかえりそうなほどのイラつきを感じていた。
『まさかとは思うが、まだお前は世一への想いに気付けていないわけじゃないだろう』
「俺はアイツを殺したい」
俺の言葉に兄貴は溜息を吐いた。
『……愚問だった、訂正しよう。お前は世一が好きなのだろう?カマを掛けている訳じゃない、お前からの返事次第で俺は世一の弱みに漬け込むことにする』
「?」
『世一は俺からの言葉を聞く度に顔に出る。俺にお前を見ているのだろう』
だから何だというのだ、惚気なら他を当たればいい。
『世一はまだお前が忘れきれていない』
「そんなわけがない!!……奴は俺に普通に接してくる」
『……ブルーロックプロジェクト最終日、俺は世一を迎えに行く。その時に俺からの着信に出ろ』
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