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浜の花火大会

 夕闇がせまっていた。  俺は、潮っぽい浜風にさらされて、浜辺の階段に座っていた。  あたりは、人で、ごった返していた。といっても、地元の小さな花火大会だ。そこまでの人出ではない。だが、めいめい、シートを広げたり、食べ物を食べたりして花火大会の始まりを、待ちかまえている。海水浴のあとの水着のままの人たちもいる。  花火大会の始まりがアナウンスで告げられる。市長の挨拶が放送される。  この花火大会は、地元の企業や、個人の寄付で成り立っている。不景気のあおりをくらって開催されなかった年もあった。しかし、個人でも、寄付をすると、メッセージつきで花火を打ち上げてもらえるという制度を取り入れたおかげで、復活したのだった。

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