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「と、とにかく! 信じてほしいとは言いません。ただ、結奈ちゃんを探すお手伝いをさせてください!」  真っ直ぐに龍一郎を見つめる瑠璃色の瞳からは、嘘偽りは感じられない。  その表情を見る限り、どうしたら力になれるかを必死で考えているのだろう。 「チャンスくらいくれてもいいだろ? こっちはこっちで勝手に動くんだ、アンタの手下に迷惑をかけることもない」 「そうですよ! 猫の手を借りるようなものだと思ってください!」 「猫の手は借りても役に立たないと思うが」 「こ、この猫はちゃんと役に立つから大丈夫です!」  焦った様子の幸人が両手をバッと突き出して、龍一郎に手のひらを見せる。  咄嗟に行った行動であり、特に意味はなかったのだが……龍一郎の毒気を抜くには十分だった。 「キミと話していると気が抜ける」  ため息混じりに呟いて、龍一郎が眼鏡の位置を正す。  どういう反応を返せばいいのか分からず、幸人が「ごめんなさい」と俯いた。 「龍之介もキミも、このまま大人しく引き下がってはくれなさそうだからな。聞きたいことがあるなら聞けばいい」 「え……本当ですか?」 「そのかわり、我々に面倒はかけないでくれ」 「はい、それはもちろん!」  やる気満々に頷いたあと、幸人がキラキラと輝く瞳で龍之介を見上げる。  応えるように頷いてやれば、幸人は嬉しそうに龍之介に抱きついた。 「やったー! やりましたよ龍之介さん!」 「偉いぞユキ、よく諦めなかったな」 「龍之介さんが一緒にいてくれたおかげです!」  抱き返して頭を撫でてやれば、幸人がえへへと照れたように笑う。  そんな二人だけの空間を壊すように、龍一郎がわざとらしく咳払いをした。 「次の予定もあるんだ、手短にしてほしいのだが」 「あ、ごめんなさい」  幸人がいそいそとメモ帳とペンを取り出して、龍一郎に向き直る。 「まずは当日、結奈ちゃんに何があったのか、分かることを聞かせてください」 「あの日は学校から帰宅して、すぐに友だちと公園に遊びに行ったと聞いている。その場にいた子の証言では、十八時のチャイムで別れるまで、公園内を出ていないそうだ」 「護衛は付けてたんだろ?」 「友だちといる時に近くにいると、結奈が嫌がるらしくてな。迎えに来いという連絡が来るまでは、別の場所で待機していたそうだ」  結奈の護衛をしていた男は、今回の失態を詫びるために指を詰めた。と龍之介は聞いている。  命があるだけマシだが、このまま結奈が見つからなければ拾った命もどうなるか分からない。 「護衛さんが公園に行った時には、もういなかったんですか?」 「そう聞いている。公園のベンチで待つとメッセージが来たが、到着した頃には影も形もなかったそうだ」  ふむふむと頷きながら、幸人がペンを走らせる。  その表情は真剣そのものだ。

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