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◇
それからの流れはこうである。
龍之介が作った夕飯を三人で食べ、御札も予定していた枚数を無事完成させた。
その後、今日はもう遅いからと帰宅する原田を玄関まで見送って、幸人は今、スマートフォンでメッセージを打っている。
「ふんふふーん」
ベッドにうつ伏せで寝転がり、鼻歌混じりにパタパタと足を動かす。
就寝前の諸々を終えて、現在は自由時間だ。
「これでよしっと!」
龍蔵から「今日は何をしていたのか?」というメッセージが来ていたため、龍一郎のことや龍之介が作ってくれた夕飯のことを送信しておく。
結奈がどのように連れ去られたかは、迷った末に書くのをやめることにした。
真美の死を利用されたと知れば、龍蔵は多かれ少なかれ結奈のメンタルケアをしきれなかったことに責任を感じるだろう。
……いや、責任を感じる程度ならいい。
部下を率いて自ら討伐に乗り出すと言い出したら、どうすればいいのか。
「ハンバーグ、美味しかったなぁ」
スマートフォンを枕の横に置いて、現実逃避でもするかのように呟く。
生まれて初めて口にしたハンバーグは、想像以上に柔らかかった。
噛むとじゅわりと肉汁が溢れ出し、濃厚なデミグラスソースや半熟卵のトロトロとした黄身との相性も抜群で、ハンバーグも白米もおかわりしてしまったくらいである。
付け合わせの人参のグラッセも、バターの風味と程よい甘さがクセになりそうだった。
口の中でとろけるような人参の味を思い出して、幸人の頬が幸せそうに緩む。
「なんだ、上機嫌だな」
「龍之介さんが美味しいごはんを作ってくれたおかげですよ」
ベッドに入った龍之介が腕を広げて、こちらに来いと促す。
そうすれば、シーツに潜った幸人がコロコロと収まった。
「気に入ったんなら良かった」
優しく微笑んだ龍之介が幸人に触れる。
頬を滑る手のひらの感触に、ふと先ほどのことを思い出した。
龍之介の手が敏感な部分に触れた時のぞくりとした快感を思い出して、幸人の顔がみるみるうちに真っ赤に染まる。
「お前、顔が赤いぞ。熱でもあんのか?」
「だだだ大丈夫です! そういうんじゃないっすから!」
熱を測ろうと額に触れ、至近距離から覗き込む龍之介の視線に心臓がドキドキと高鳴った。
このまま見つめられると心の内まで見透かされてしまいそうで、幸人は慌てて寝返りをうつ。
そんな様子に、龍之介がくすりと笑った。
「今日は無茶させて悪かったな」
「いえ、自分でやるって決めたことですし……」
誰に強制されたわけでもない。
幸人が自分で考えて行動した結果、あのような無様を晒してしまったのだ。
新たな情報が手に入ったから良かったものの、龍之介には面倒をかけてしまった。
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