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第5話
「……」
ぎゅー、、スンスン
「おい。くすぐったいから首に頭埋めるな」
「…やだ」
「やだじゃねーよ」
「やだ。ずっとこうしたかったんだから」
「一歩踏み出したらグイグイ来るじゃん!」
「…ダメ?」
「いや、、別にダメではないけど…」
そのまま、おとなしく抱きしめられ、首元をスンスンされると大きな犬みたいで笑えてくる。
少しの間だと思ったが、ずっとしてるし途中トイレ行った後もシンが後ろにいる。
「いつまでそうしてんだよ?」
「え、、ずっと?」
「はぁ?」
「ずっとしてたい」
「いや、さすがにずっとはないだろ!」
「潤はテレビとか見ていいよ?」
「何だよお前は!さっきまでいじいじしてたくせに!」
「だって、やっと触れたから…離れたくない」
「あーもういいよ、、その代わり思いっきりもたれるからな!」
と言うことでオレ専用の座椅子ができた。足の間に座るとシンは膝を立ててることが多くその膝に肘を置いたり顎をおいてくつろげるアイテムになった。このポジションにいる時は後ろにシンがいるから目隠しもしてない。
だが…毎日これは…
「なぁ…いい加減鬱陶しいんだけど…課題やってんだから遠慮して離れるとか何かあるだろ?」
「遠慮して、たまにしかぎゅーはしてないよ…」
「は?これで遠慮してんの?足がまとわりついてんだよ!」
「今は、触れてないと無理だから…」
「はぁーお前の愛は重過ぎてオレには無理そうだわ…」
「……」
「……」
「……」
「…何か言えよ」
「……」
シンは何も言わず離れた。
いじけたのか?怒ったのか?…何なんだよ!もー知らない。オレは課題をする!シンに構ってる暇はない。
せっかくバイトが休みで課題進める気でいるのに、、恋人でもないのに…はぁー。
それから3時間くらいはかどったオレはシンの存在を忘れてた、、、
やっばっ忘れてた!!
伸びをしながら出来るだけ自然に声をかける。
「ん〜シン今日の夜ご飯何?」
「……」
「何?まだ怒ってんの?」
「…違う、、怒ってない」
「じゃあ何だよ」
「触るの我慢してた…触っていいの?」
「…まぁ今日はこれで終わりにするからいいけど…」
「んんー」
「はいはい、相当我慢させたってことね、、ごめんごめん」
待ってましたと言わんばかりに抱きつかれスンスンされた。大型犬が''待て’’から''よし”になった瞬間のように飛びついて尻尾があったらブンブン振ってる姿が想像できる。
顔は分からないけどオレのことめちゃくちゃ大好きじゃん。って客観的にツッコんでしまうくらい気持ちは伝わるし悪い気はしなかった。寧ろ顔見てーなって絆されてきてる自分がいる。
「シンお腹すいた…頭使ったからいつもより空いてるかも、、」
「……」
「あーまだぎゅーが足りないのね?」
「もう少しだけ…そしたらすぐ作るから」
「いいよ。じゃあさ、目隠しするから前からぎゅーしてみる?」
「…え、い、いいの?」
「うん。いいよ」
目隠しをつけて顔を上げると、ソワソワしてるのが空気からも伝わってくるほどに緊張したシンがオレの前に座る。
「…いい?」
「あぁ、来いよ」
「潤…そのセリフはやばい…」
「は?何言ってんだよ!来んのか来ねーのかどっち、」
話してる途中、急な衝撃だった。後ろから抱きしめられる時はあまり感じなかったが、前から来られてシンの肩に顎が乗る瞬間ブワっとシンの匂いがした。とてもいい匂いで、その匂いを求めて首に顔を埋めたくなる。前からぎゅーっとしてくるシンに無意識にオレも腕を回してぎゅっとしていた。
「潤もぎゅーしてくれた」
「…無意識だ」
「それでも、嬉しい」
「……」
「潤?」
「も、もういいだろっ?ご飯作ってよ」
「もう少しだけ」
「……」
離れる時は何だか照れたけど、離れてしまえばいつも通りだ。
ご飯を食べて寝る時、後ろから腕を回された。
「…いい?」
「……」
「潤?」
「…あぁ」
いつもだと、背中には頭が(顔だったかもしれないけど)こつんと当たる程度だったのが腕が回されたことによって寝る時も後ろから抱きしめるようにピタっとくっついてくるようになった。
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