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第7話

前日に次の日の予定は言ってたし、オレがバイトの時は自分の家に戻ってるようで、オレが早く帰った日はインターホンを押されたら目隠しして、渡してる合鍵ではいってくる。伝えた時間より遅く帰った日は玄関に入ったら目隠しして、先に入って待ってるシンを呼ぶ。そんな感じだったからお互いの連絡先は知らない。  明日紹介してもらうって伝えた翌日からシンは来なくなった。 オレからこの関係を終わらせるつもりだったのに拍子抜けだ。 オレたちは何も始まっていなかったけど、シンといる時間は楽しかった。顔が分からなくても好きだなって思えた…シンからの気持ちも伝わってた。だけど、オレはきっとシンの全て…顔も知りたくなる。そうなったらシンを傷つけてしまう。それが怖かった。 これでよかったんだ… それからは、この家で一人でいるとシンのことを思い出してしまうからバイトをたくさん入れた。バイトがない日は飲みに行く。そんな変わり映えのない毎日を送っていた。 数ヶ月が過ぎ、冬になった。この寒さが切なくさせる…シンに会いたいな…ぎゅーってしたいな… 飲み過ぎて余計に寂しくなる… 玄関で寝てたらまた来てくれるかな…ストーカーに戻ってくれるかな…オレの側にいてくれるかな… そう思って玄関に座った。一度座ってしまったら立てないほど酔っていた。 次の日、自分のベットで目が覚めた。二日酔いの中、昨日の夢を思い出す。シンと向き合って抱きしめられながら眠る夢だ。とてもリアルだったが目隠しもしていないのに顔が思い出せない。自分がどうやって部屋に入ったかなんて全く覚えていない。 大学ではいつもケンジと座るが今日は風邪で休みだ。今日は違う人が座った。 やばい!消しゴム忘れた…今日に限ってケンジがいない。ちょっと恥ずかしかったけど隣の人に借りた。 「すみません。消しゴム借りてもいいですか?忘れちゃって…」 「二つあるのでどうぞ」 髪の毛で顔が見えないが男の人だった。ん?この人バイト先のカフェにもよく来てくれてる人じゃん。 「ありがとうございました。助かりました」 次に来た時お礼しよう。 「あの、昨日は消しゴムありがとうございました。今日はお礼にご馳走させてください」 「消しゴムくらいでお礼だなんて逆に申し訳ないので大丈夫です」 「あー実は、このラテアート、オレがしたんです。ちょっと失敗しちゃったんですけど飲んでもらえると嬉しいです。」 「そう言うことなら…ありがとうございます」 「いえいえ、こちらこそありがとうございます」 それからも、ちょくちょく来てくれているが店員と客の関係は変わらず大学ですれ違っても会釈する程度だった。 

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