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第9話
「なぁなぁ潤、あのよく来るお客さんの顔気になるよな。今、注文取ってきたんだけどさ顔が見えないのよ」
「お、ケンジ男に興味出てきた?オレは偏見とかないから男の恋人連れててもお前とは友達でいれるから安心しろ」笑
「オレも偏見はないけど残念ながら女の子が大好きなんだよ〜」笑
「お前笑い過ぎ、オレが持って行ってくるわ」
「おー頼む」笑
その客は前に消しゴムを貸してくれた人で髪が長くて顔が見えない。
デーブルに近づくとメンズヘアの本があった。
「ご注文のカフェラテです」
「あ、ありがとうございます」
「髪切るんですか?」
「え?あ、はい。どんな髪型がいいのか分からなくて…」
「ちょっと前髪触ってもいいですか?」
「え、あ、はい」
うわぁ…めっちゃイケメンじゃん。前髪を上げながら思う。めちゃくちゃ緊張したけどバレないように頑張った。
「おでこの形もいいのでおでこ見せるくらい短くても似合うと思いますよ」
「え、あ、そうですか?ありがとうございます。参考にします」
「いえいえ、参考になったら嬉しいです」
「潤!潤!どうだった?」
「どうって普通だよ」
「なーんだ」
次に来た時には、切った後だった。すごく似合っている。
「うわーめちゃくちゃ切りましたね!しかもとても似合っています」
「そ、そうですか?」
「はい。とてもカッコいいです」
「あ、あの…高木さん!バイトが終わってから少し時間いいですか?」
「え?何かありましたか?」
「何も!何もないんですけど、少しお話しさせてもらいたくて…その…」
「いいですよ。もうすぐ終わるので待っててもらえますか?」
「はい!」
「お待たせしてすみません」
「いえ、大丈夫です!」
「何か緊張してます?どうしました?」
「…あの…その…」
「えっと、近くに公園があるんですよ、そこに行きませんか?」
「あ、はい」
感じから、お店の前で話せることじゃなさそうだったから、少しは落ち着けるだろうと公園に移動した。
「あ、あの…その…わざわざすみません…」
「いいえ。ゆっくりでいいので焦らず話してください」
「…はい。…高木潤さん、あの、好きです。付き合ってください」
「…いいよ。オレのストーカーさん」
「!!!!!!」
「ははは、何で知ってるかって?」
言葉にならないシンは頭を上下に振る。
「何でって、声で分かるよ。シンはオレのストーカーだから絶対バイト先にも来てると思ってたし、顔隠してるし、決定的なのは声。シンといる時は目隠ししてたからシンの声に敏感になるでしょ。消しゴム借りたあの日からシンって、気づいてたよ。」
「えー…」
「シン、まだ時間ある?」
「え、うん」
「ウチ行こう。で、ぎゅーしよ」
「うん!」
早歩きで帰って玄関入るなり壁に押し付けられる
「潤、ぎゅーしていい?」
「うん。シンおいで」
しばらく玄関でぎゅーして部屋に連れて行く。
「シン部屋に行こ」
目隠ししてた時と同じようにオレの後ろに座りぎゅーぎゅーしてる。
「なぁ、何でそんなイケメンなのに顔隠してたの?」
「自分でも髪切るまでこんな顔になっていたなんて思わなかった。ずっと見てなかったから。昔は可愛い可愛いって言われて、この顔だったら男でも好きになるみたいなことを、からかいでずっと言われて、みんな顔しか見てない気がして…その時この顔がものすごく嫌いになって隠すようになった」
「でも、成長したら可愛いいからカッコいいになってて驚いたってか、シンは罪だねーその顔で言い寄ったら男でも女の子でもコロっていっちゃうよ。それを嫌いだなんて」
「だから嫌だった。顔だけでオレのこと好きになって欲しくなかったから」
「そっか。もういいのか?」
「うん、大丈夫。潤は言ってくれたから。顔が分からないのにオレのこと好きだって…そしたら、すぐにでも顔見せてオレも好きって目見て言いたくなって、どうせなら今まで隠してきた鎧みたいな髪も切ってみようと思ったんだけど、隠してきた時間が長い分顔出すことにビビっちゃって、やっと切れたんだ」
「うん。勇気出してくれたんだな。オレは嬉しいよ。でも、ごめん。正直、顔見るまでもすごい好きだったけど顔見たら余計に好きになった。オレの恋人がこんなイケメンだなんて嬉しいよ」
「潤、、」
「シン前に来て、オレにもぎゅーさせて」
やっと…見つめあってぎゅーができた。正面から目を見ながらなんてすごく照れたけど、やっぱり好きな人とは見つめあって笑い合いたい。それができるようになった今、愛が溢れて止まらない。
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