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第10話

「シン、オレさお前に嘘ついた。本当は女の子の紹介とか受ける気なかったんだけど最後の悪あがきで嘘ついた、そうしたらシンが顔見せてくれると思ってさ。一か八かだったんだけど、で、ダメだったから新学期始まったら適当に彼女できだって言ってこの関係を終わらせようと思ってた。先に終わりにされたけど」 「そうだったんだ…」 「でも、もう絶対に嘘はつかないから。こんな試すようなこともしない。約束する」 「うん。オレも嘘つかないし、気持ちはちゃんと言うよ」 「まぁ、シンの場合態度でも伝わるからオレは安心する」 見つめあって笑う日が来るとは… 「そう言えば、突然来なくなったのは何で?」 「…潤の邪魔したくなかったから…」 「そうだったんだ…」 「潤、今更だけど…」 「ん?どうした?」 「オレたちって付き合うでいいの?」 「もちろん。好きだ、シン」 「ゔゔ〜嬉しい」 「泣くなよ、これ渡しとくな」 「鍵…いいの?」 「あぁ、いつでも来ていいから」 「うんっありがとう」 「……」 「潤?」 「…シン、キスしてみようか」 「え…うん」 いつもはシンが前に来るけど今日はオレから後ろを向く、シンは目を力一杯ギュッと閉じて待っていた。 ほんの一瞬唇が重なっただけでビクッとなる、可愛いい奴だ。離れたと思ったらバタバタと帰って行った。 「ごめん!明日も学校だから今日は帰る!」 「あ?あぁ…帰んの?」 「うん。着替えとかもないし。また明日ね」 「おぅ。また明日な」 そんなに慌てて帰らなくても…嫌だったのかな… オレが嫌いとかじゃなくてキスが嫌だった?分かんねー。オレのペースではなくシンのペースで進んでいこうと決めた。 大学では相変わらずケンジと一緒にいることが多い。 ケンジと中庭のベンチに座っていると向こうのほうからシンが歩いて来てた。俺たちの前を無言で通り過ぎようとする。 オレ「おいおい。シン!無視してんじゃねーよ」 ケンジ「うわ、バカ!お前こんなイケメンにイチャモンつけんなよ!絶対ファンがいるって!何されるか分かんねーぞ」 オレ「うるせーよケンジ。シン!」 と、手招きして呼ぶ。シンは照れたように小走りで来た。 オレ「何で何も言わないで行くんだよ?」 シン「え?だって潤、友達といるから、その…」 オレ「まーた、邪魔しないようにってか?」 シン「…うん…」 オレ「ケンジにはオレたちのこと隠そうと思ってないからいいんだよ。シンが知られるの嫌だったか?」 シン「ううん、そんなことない」 オレ「てか、他に知られてもオレは気にしないからお前も気にすんな」 シン「……」 無言で頷くシンの腕を取り、隣に座らせる。反対側に座っていたケンジがポカンとしているのが面白くて笑った。 オレ「んで、お前は何つー顔してんだよ。ははは」 ケンジ「お前、何笑ってんだよ!」 オレ「面白いからだろ」 シン「……」 オレ「ケンジ、こいつオレの恋人のシンな」 ケンジ「やややや、意味分かんねーって」 オレ「そのままの意味だ」 ケンジ「はぁ?」 シン「……」 オレ「いや、まじだから。一応紹介しただけ。ちなみにバイト先のカフェに来るお前が気になってたロン毛の奴だよ。シン、こいつケンジ。知ってると思うけどオレの友達な」 ケンジ「おい!待て待て待ていろいろ待て」 オレ「何だよ」 ケンジ「まじで意味分かんない」 オレ「いやな、お前には言わなかったけど実は前から知ってたんだよ。で、昨日から付き合うようになった」 ケンジ「……」 オレ「夏休みに色々あってさ、な?シン?」 シン「…うん」 オレ「ケンジそう言うことだからよろしくな?」笑 ケンジ「いや、まぁよく分かんないけど分かった…」 シン「…よろしくお願いします…」 オレ「緊張してんなーははは」 シン「緊張するよ!」 オレ「シンは、まだ講義あんだろ?」 シン「うん、あと一コマ」 オレ「オレはこれからバイトだから、今日は来る?」 シン「うん、いい?」 オレ「あたりまえだろ?」 シン「じゃあ、ご飯作って待ってる!バイト頑張ってね」 オレ「あぁ、またあとでな」 シン「うん」 話についていけないケンジは置いてけぼり。

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